豊かな水産資源で知られる「豊饒(ほうじょう)の海」有明海。福島第1原発の処理水海洋放水の影響が、福島から遠く離れた九州の漁業関係者の暮らしにも暗い影を落としている。

水揚げ量の9割が中国への輸出 漁は取りやめに…

「八幡丸海産」待鳥恭右 代表:
クラゲのカサですね。7月、8月にとれたやつです

この記事の画像(19枚)

福岡・柳川市の水産会社「八幡丸海産」の待鳥恭右代表が見せてくれたのは、有明海で旬を迎えているビゼンクラゲ。コリコリとした食感が特徴で、中国では高級食材とされ、結婚式での料理や懐石料理には欠かせないと言われている。

八幡丸海産では毎年この時期、ビゼンクラゲを1日に200トンから300トンほど水揚げしていて、9割以上を中国に輸出していた。しかし、中国が日本の水産物の輸入を全面的に停止した8月24日に中国側から取引停止を告げる連絡があり、本来、10月まで予定していた漁は取りやめとなっている。

「八幡丸海産」待鳥恭右 代表:
クラゲ漁の期間は7月から10月まであるので、2カ月も3カ月もストップになった。3カ月分のクラゲ漁の収入がゴロっと減った。損害は何百万、何千万になる

すでに水揚げしていたクラゲは国内向けに切り替えて販売していく方針だが、国内での需要は低く、先行きは不透明だ。

ワタリガニ漁の前倒しで穴埋めを

「八幡丸海産」待鳥恭右 代表:
ワタリガニになります。クラゲ漁がストップしたために、ワタリガニ漁に切り替えて…

例年は、クラゲ漁が終わった10月頃から始めるワタリガニの漁を急きょ前倒し。ワタリガニの食べ放題イベントを実施するなど、失った収入の穴埋めを図りたいとしている。

「八幡丸海産」待鳥恭右 代表:
クラゲ漁ストップで困っているんですけど、対策を打つのが先なので、自分たちができることをやっていかないといけないかなと頑張っています。とにかく今を乗りきることが精いっぱいで、考えてやっています

福岡でも広がる、中国による輸入停止の影響。その影響がいつまで続くのか。関係者はもどかしい思いの中、深い憂慮を抱えて毎日を過ごしている。

(テレビ西日本)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(19枚)
テレビ西日本
テレビ西日本

山口・福岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。