9月19日に積水ハウスが発表したのは、男性の育休事情を調査した「男性育休白書」だ。

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それによると、2023年の育休取得率は24.4%にのぼり、調査を開始した2019年の9.6%から、約2.5倍増加した。

取得日数も平均23.4日となり、こちらも5年前と比べて約10倍、2022年と比べて約3倍長くなった。

さらに、男性育休のルールや仕組み作りがある企業についても42.1%となり、緩やかではあるものの改善傾向にあるようだ。

ただ、育休を取得する際に「不安」を感じた人は、70.2%にのぼり、5年前と比べて約7ポイント改善されたが、依然育休に対する不安は高い結果となった。

積水ハウス・仲井嘉浩社長執行役員兼CEO:
親会社と子会社で制度が違っても良いと思うし、その企業の働き方や労働集約型の度合いに応じた制度を独自で考えるのが一番大事。

企業側の不安は代替の人材

「Live News α」では、キャスター取締役CROの石倉秀明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
男性の育休、どうご覧になりますか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
取得率、取得日数ともに伸びてはきているものの、まだ少ないのも事実で、男性育休を増やしていくための課題はたくさんある。

まず、男性自身の意識の問題もあるし、会社で育休を取得しやすい雰囲気をどう作るかなどソフト面の課題も多いが、一方で金銭的な理由も少なからずあるはず。

例えば、パートナー間でどちらも長期で育休を取得すると、金銭的に厳しくなってしまうので、男性が育休の取得を躊躇してしまう要因になり得る。

さらに、会社を経営していて日々多くのお客様と話す中で、新しい課題になっていると感じるのは、人手の確保。男性が育休を取得している間に、その人がやっていた仕事をどうするか、誰がやるのかが問題になってきている。

堤 礼実 キャスター:
確かに、代わりを誰がするのか、これは育休の取得を進めるためのポイントですよね。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
誰かが育休取得する場合は、社内で分担したり、派遣社員やアウトソーシングなどを使ってカバーしてきたケースが多いと思う。

それが今では、依頼していた派遣会社や、アウトソーシングの会社自体が人の確保が難しくなっており、追加で人員を出してほしいという依頼に対して応えられないケースが増えている。

仕事を止めない組織作りが必須

堤 礼実 キャスター:
どうすればいいのでしょうか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
これからは人を投入せずに仕事をカバーする方向、もしくは、今までチームに取り入れられていないような人材などをどう登用していくか。

具体的には、AIやテクノロジーの導入によって、なるべく人が減っても仕事が止まらないようにする仕組みをどう作れるか。

また、今まで活用できていないフリーランスや、ギグワーカーの活用など、多様な働き方をする人をチームに組み込んでいくことを考えていくべき。

なので、育休をどう取得してもらうかというのはもちろん、それとセットで、誰かが休んでも仕事に影響が出ないような組織や仕組みを、どうやって作っていくかという根本的な問題から目を背けてはいられなくなっていると思う。

堤 礼実 キャスター:
家族の負担を減らすという意味だけではなく、あっという間に大きくなる子どもの成長を自分の目で見て、貴重な時間を一緒に過ごすためにも、育休がもっと取得しやすいものになることを期待したいです。

そのためにも、取得を後押ししてくれる環境を整えることが、大切なのかもしれません。
(「Live News α」9月19日放送分より)

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