2023年1月、緊急走行中のパトカーが、交差点を歩いていた女子大学院生をはねて死亡させる事故が発生した。その際、現場の実況見分をした警察官が、死亡した大学院生を「大した価値がない」と嘲笑していたととれる音声が公開され、問題となっている。この音声は、警察官のボディーカメラに録画されていた。
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2023年1月23日、ワシントン州シアトルで、麻薬の過剰摂取の通報を受けて現場に向かっていたパトカーが、交差点で歩行者と接触する死亡事故をおこした。
この記事の画像(4枚)死亡したのはノースイースタン大学大学院生のジャナービ・カンデュラさん(23)。
地元メディアによると、パトカーは時速119キロで交差点に進入していて、カンデュラさんは30メートル以上跳ね飛ばされたという。
この事故の実況検分を行ったダン・アーデラー刑事は、事故を起こした警察官の飲酒検査を行い、飲酒はなく問題ない警察行動だった事を警察組合の委員長に電話で報告した。
その際、うっかり自分のボディーカメラをオンにして会話していたという。
「小切手を書けばいいさ(笑)1万1千ドルだな26歳だ、大した価値はない」
アーデラー刑事は、カンデュラさんの年齢を26歳と誤った上で、「1万1000ドル」「大した価値は無い」と、カンデュラさんを嘲笑しているともとれる発言をしていた。
アーデラー刑事は、「冗談で警察の弁護士が言うマネをしていた」と釈明している。
しかし地域警察委員会の担当者は「たとえ弁護士のモノマネだったとはいえ、人の命の価値を冗談にするのは心が痛む」と指摘。
事故当時、警察車両の速度は時速119キロだったが、アーデラー刑事は「時速80キロだから大したことない。訓練を受けている警察官だから無謀運転とは言えない」と、過小に伝える場面もあった。
シアトル市警察は、透明性を保つために映像をWebサイトに公開したとしている。
地域警察委員会担当者は「これは大きな打撃でシアトル市警察の風習や適正の問題点を露呈している」と語った。
シアトル市警察では、8月初旬に警察内部からの苦情を受け、外部の監視機関がこの一件の調査を開始したと明かしている。