いよいよ開幕を迎えるFIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023（東京・国立代々木競技場 第一体育館）。
9月16日から先陣を切る女子日本代表が、パリオリンピックへの切符を掴むには、プールＢ・８カ国の中で2位以内に入る事が条件となる。
世界の強豪が参加したこの夏のネーションズリーグでは目標としたベスト4には届かずベスト8止まり。あと一歩のところまで進みながら世界の壁に跳ね返された。
果たして今大会でパリオリンピックの出場権をつかむことは出来るのか？世界を打ち破るための打開策を探る。
世界の高さへの対抗策
女子代表“火の鳥ニッポン”を苦しめてきたもの、それは「世界の高さ」。今回のワールドカップでも、出場全24チームの中で平均身長が一番低いのが日本だ。1位が中国の188cmに対し、日本は175cm。その差は13cmに及ぶ。
この状況を打ち破ろうと、ある戦術を推し進めているのが女子日本代表の指揮官・眞鍋政義監督（60）だ。ロンドンオリンピックで28年ぶりに日本をメダルへ導いた名指揮官で、これまでも小柄な日本人が世界で勝つための秘策を生み出して来た人物だ。
それでもパリオリンピック予選の前哨戦となったネーションズリーグでは世界の高さを痛感。そこで、今回パリへの切符を掴むための秘策として、眞鍋監督が今チームに徹底している戦略があるという。それが。
「マッハとジェット」
聞き慣れないバレー用語だが、そのプレーとはこうだ。
「マッハとジェット」とはセッターからのトスが上がり、アタックされるまでの時間が１秒以内のバックアタックのことで、セッターが自分より前方にトスをあげアタックするのを「マッハ」。セッターが後方にトスをあげアタックするのを「ジェット」と呼んでいる。
素早くトスをあげ２種類のバックアタックを持つことにより、相手ブロッカーに的を絞らせないのが「マッハ」と「ジェット」の特徴だ。
背の高い海外勢に「スピード」と「バリエーション」で対抗するのだという。キャプテンの古賀紗理那も以前、フジテレビの番組に出演した際には、こう語っている。
「日本選手はやはり身長が低いので、この『マッハとジェット』があることで、大きな海外のチームに対抗する一つの手段になると思います」
この秘策「マッハとジェット」を覚えるとしたらこうだ。
セッターが自分より前方にトスをあげ、バックアタックするのが「前、マッハ」
セッターが自分より後方にトスをあげ、バックアタックするのが「後ろ、ジェット」
一言で言えば、「前マッハ、後ろジェット」いかがだろう。
もうひとつの武器は「相手を崩すサーブ力」
そして「前マッハ、後ろジェット」にも繋がる大きな武器が日本にはある、と眞鍋監督は語る。
「サーブで崩せない選手はもう最後は絶対にメンバーから外す。それくらいやはりサーブというのは我々にとって武器です」
相手を崩して思うようなプレーをさせないことで、自分たちの攻撃チャンスに繋げる。サーブはその強化を目標とした特別チームを設置するほど、力を入れてきたポイントだ。さらにはサーブで主導権を握るチームを作り上げるため、選手選考においても、重要視されて来た。
眞鍋監督はかねてから「スピード、コース、（相手の）正面に行かないっていうところも、練習の中で詰めて行きたい」と語っている。
『相手を崩すサーブを打つ』。そのための練習風景を見てみると、通常のバレーボールより小さくて重いボールを使ってトレーニングしている。こうすることで上半身だけでなく全身を使って、強くインパクトする事を意識させているという。
実際、ネーションズリーグでは、サービスエースが去年より10本以上増えており、強化練習は確実に実を結びつつある。昨年大会の52本に対し、今年の大会では66本を記録した。
こうした取り組みが、この大舞台でどんな成果を生むのか？
新たな戦術「マッハとジェット」。そして「相手を崩すサーブ」を武器に、”火の鳥ニッポン”がワールドカップを戦い抜く姿に期待したい。
写真：©️JVA 撮影 小海途良幹
FIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023
日本戦全戦をフジテレビ系独占中継！
女子大会 9月16日（土）－9月24日（日）
男子大会 9月30日（土）－10月8日（日）
東京・国立代々木競技場 第一体育館にて開催
