「ルンバ」で知られるアイロボット社が、空気清浄機市場に参入する。

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ロボット掃除機「ルンバ」などを製造販売するアイロボットは、空気清浄機「Klaara (クラーラ)P7 Pro」を2023年10月20日から販売すると発表した。価格は16万9800円(税込み)。

取材リポート:
ルンバが掃除を始めると連携しているため、空気清浄機は自動で風量を調整します。

Klaara P7 Proをアプリでルンバと連携させると掃除中であることを認識し、取り込む空気の量を自動で増やして舞い上がったほこりを取り除く。

さらに、センサーで取り込んだ空気に含まれる花粉などを検知し、風量を調整する。

アイロボット社・コリン・アングルCEO:
コロナ禍によって、きれいな空気の重要性について意識が加速した。我々の技術で差別化していけると考える。

アイロボットは、花粉症などアレルギーに悩むユーザーが多い日本での先行販売から始め、2024年以降、海外にも順次展開する予定としている。

「空気の流れ」プロの差別化

「Live News α」では、早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
アイロボットによる空気清浄機への参入、長内さんはどうご覧になりますか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
空気清浄機市場はコロナ禍の影響もあり、世界で急成長している家電製品カテゴリーです。

世界市場を見ると、その半数のシェアをシャープ、フィリップス、パナソニックといった総合家電メーカーが占めており、日本企業がかなり健闘しています。

そこに、掃除機の専業メーカーであるアイロボットが挑戦をしようというのが、今回の話です。

このアイロボットに先行する形で、空気清浄機市場に参入したダイソンもそうですが、この2社は掃除機からビジネスを始めています。

そのため、モーターと空気の流れをコントロールする他社が真似できない強み・コアコンピタンスを活用して、存在感を発揮しようとしています。

堤 礼実 キャスター:
今回の空気清浄機は、お掃除ロボットとの連携がポイントになっているようですね。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
ロボット掃除機と自動連携する空気清浄機は、これまでにないものとしてアピールしています。

具体的には、お掃除ロボットで培ったAI技術が活用されていて、ルンバでの清掃中に出た空気中のほこりを空気清浄機がパワーをブーストして取り除きます。

さらに、部屋の空気の状態をAIが判断して、効率的に室内の環境を整えるとしています。

わかりやすいイメージ・認知度がカギ

堤 礼実 キャスター:
アイロボットやダイソンなどの専業家電メーカーの活躍が目立つようになったのは、なぜなんでしょうか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
家電販売の現場が、大手量販店などのリアル店舗からEコマースに移行する中で、商品説明を丁寧にする機会が失われつつあります。

すると、ダイソンやアイロボットと言えば、空気の流れをコントロールするのが得意といった、専業メーカーが持つイメージの分かりやすさが消費者に刺さりやすいのです。

一方で、日本のシャープやパナソニックなどは、プラズマクラスターやナノイーなどの独自の空気清浄技術を持っており、技術ブランドで市場の認知を高めています。

市場が活性化することは既存のメーカーにとっても良いことですので、今後の空気清浄機市場の動向が注目されます。

堤 礼実 キャスター:
お掃除と空気清浄は通ずるものがありますし、ルンバというとAIを駆使したスマートなイメージがありますから、そのAI技術を活用した空気清浄機、一体どんなものなのか興味のある方も多いのではないでしょうか。
(「Live News α」9月12日放送分より)

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