9月8日からの大雨で、福島県いわき市内郷高野町では土砂崩れが発生。土砂により建物が押し出される被害があった。住民は、想定を超える雨量と雨の強さに、前触れに気づく間もなく土砂災害が発生したという。

住民…この規模は初めて

住民によると、8日は夕方頃から雨が強くなり、明け方まで激しく降り続いたという。建物裏の斜面が10メートルほど崩れ、道路の一部もえぐられ土がむき出しになっている。過去に激しく雨が降っても石垣が少し壊れる程度で、ここまでの土砂崩れは初めてだという。

いわき市内郷高野町 8日からの大雨で建物裏の斜面が10メートルほど崩れる
いわき市内郷高野町 8日からの大雨で建物裏の斜面が10メートルほど崩れる
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土砂は住宅を押し出す

土砂は2階建ての建物を2~3メートルほど押し出した。ひさしを支える柱は折れ駐車していた車にもたれるように倒れていた。この建物は、1階が物置、2階には部屋が2つあるが、住民は普段は隣の母屋で生活し無事だった。

物置として使っていた建物が2~3メートル押し出される
物置として使っていた建物が2~3メートル押し出される

前触れなく土砂が…

高萩三治さんは「午後8時半から午後9時くらいの間が、ものすごい降り方をしていた。怖くていられなくなって、何回か外に出たりを繰り返しているうちに、急に、なんの前触れもなく」と当時の様子を語った。

恐怖を覚えるほどの雨 前触れなく土砂が崩れる
恐怖を覚えるほどの雨 前触れなく土砂が崩れる

夜の災害 垂直避難を選択

高萩さんは、夜遅いことから自宅の2階に垂直避難。崖から反対側の部屋で寝たという。さらに、いつでも避難ができるよう食料や衣類を入れたバッグを準備していた。

隣接する母屋で垂直避難 一晩を過ごす
隣接する母屋で垂直避難 一晩を過ごす

大雨で崩壊しやすい地質

防災士でもある福島テレビ・斎藤恭紀気象予報士は、福島県の浜通りの地質は泥が固まった岩、そして阿武隈高地の地質は花崗岩が風化した真砂土で大雨で崩壊しやすい性質があると説明。いわき市は他のエリアより土砂災害が発生しやすいと指摘する。

浜通りは大雨で崩壊しやすい地質 いわき市は他のエリアより土砂災害が発生しやすい
浜通りは大雨で崩壊しやすい地質 いわき市は他のエリアより土砂災害が発生しやすい

土砂災害の前兆現象

土砂災害には「がけ崩れ」「地すべり」「土石流」と3つの種類がある。

がけ崩れ・・・斜面にふくらみや亀裂ができる。小石が斜面から落ちる。がけから水が吹き出る。
地すべり・・・地鳴りがする。沢水や井戸水に濁り。家や擁壁に亀裂。
土石流・・・山鳴りがする。川の水が急に少なくなったり濁る。異様な臭いがする。

こうした前兆現象に気づいたら、周囲の人に声をかけあい、いち早く安全な場所に避難することが大事。

土砂災害の前兆現象
土砂災害の前兆現象

雨が強く気づけなかった

今回の土砂災害では「雨がひどくて前兆に気付く余地がなかった」という声も聞かれた。そうなると事前の避難というのが重要になる。避難所に行けないときは、近くの丈夫な建物の高い場所へ。また斜面が近くにある家は、2階の反対側で過ごすなど安全に自分の身を守ってほしい。そして、自分のいる場所が土砂災害警戒区域や浸水想定区域に含まれる地域かどうかハザードマップなどで確認を。

事前の避難が重要 住んでいる場所のリスクを知る
事前の避難が重要 住んでいる場所のリスクを知る

危険が迫った時に速やかに避難できる準備をしておくことが大切だ。

(福島テレビ)

福島テレビ
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