バレーボール応援の鉄板フレーズといえば、「ニッポン!チャチャチャ」。このおなじみのフレーズ、バレーボールが発祥と思っている人が多いのだが、実はサッカーが元祖。
その元祖が1962年(昭和37年)に仲間と「日本サッカー狂会」を立ち上げ、以来60年以上サッカー日本代表を応援し続けてきた、愛知県にある東光寺の前住職、“サッカー和尚“こと鈴木良韶(りょうしょう)さん(87)だ。
”サッカー和尚”が生みの親
「ニッポン!チャチャチャ」応援の元祖であり、日本サッカー応援サポーターの”元祖“でもある鈴木さん。サッカーの人気が今ほどでなく、応援のノウハウもない時代。
静かなスタンドを活気づけようと1967年(昭和42年)、ブラジルの強豪クラブ・パルメイラスとの国際親善試合で、鈴木さんたちが前年のワールドカップイングランド大会での応援を参考に編み出したのが「ニッポン!チャチャチャ」のリズムだった。

その独自の応援スタイルが見事結実したのが5年後の1972年(昭和47年)。
“サッカーの神様”ペレ率いるサントスFC(ブラジル)が来日。国立競技場で日本代表と対戦した時に、鈴木さんとサッカー狂会会員たちが「ニッポン!チャチャチャ」のコールと手拍子を始めると、それが周りの観戦者にも波及。満員のスタンドが「ニッポン!チャチャチャ」の大合唱で揺れたのだ。

この応援スタイルが話題となり、いつしかバレーにも伝わったのだ。鈴木さんは当時を振り返る。
「サッカーの応援で私たちが始めて、いつの間にかいろいろなスポーツに広まって、当時人気絶頂のバレーにもたどり着き、テレビ中継であの応援スタイルに火がついた。パクられましたね(笑)」

翌1973年に開催されたワールドカップバレーで女子日本代表は見事銀メダルを獲得。その躍動の裏には観客による「ニッポン!チャチャチャ」の後押しがあったのかもしれない。
コロナ禍を経て開催されるパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023。会場で、テレビの前で、「ニッポン!チャチャチャ」と声を出し、手を叩いて日本代表の熱き戦いにエールを送りたい。