28日、神戸市の保健所を訪れたのは、神戸徳洲会病院の院長と事務長だ。

Q:今から行政指導行われますけどもどのように受け止めていきたいですか?

「何も聞いていないのですみません」

硬い表情でエレベーターに乗り込み、このあと、神戸市からの行政指導を受けた。

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神戸徳洲会病院では2023年1月以降、循環器内科に所属する1人の男性医師のカテーテル治療を受けた患者6人が治療後に死亡した。

2023年6月に神戸市宛てに匿名の告発文が届いたことで、この事実が明らかになったのだ。

カテーテル治療とは、手首などから太さ数ミリの管を通したり、風船のような器具で血管を広げるなどして、血液の通りにくい状態を改善するものだ。

西宮市立中央病院・南都伸介医師:
今は器具がよくなっているので、すごくやりやすくなりましたね。だから治療そのもののリスクがものすごく低いと思います

カテーテル治療での死亡率は、平均で1.9%だ。
一方、神戸徳洲会病院の場合、男性医師が担当した約110件のうち、死亡は6件で、その割合は5%近くとなっていた。

神戸市は行政指導を終えて、28日午後、会見を実施した。その中で死亡した患者の治療をめぐる、ずさんな体制が次々と明らかになったのだ。

神戸市健康局・楠信也保健所長:
医療安全体制が正常に機能せず、その後も疑義のある複数の死亡例が発生したと認識しております

神戸市によると、男性医師は患者が入院してから容体が急変するまでの6日間、治療経過をカルテに記載しなかったことや、急変時、対応内容を家族に説明していなかったことがあったということだ。

この男性医師とはいったいどんな人物なのか。
病院の内情を知る関係者は男性医師のカルテの管理は普段からずさんだったと話した。

病院の関係者:
本来は毎日カルテ記載するべきだと思うが、彼はほとんどやってなかった。(Q.カルテを毎日つけることの必要性は?)患者の日々の変化を確認して、急変した時の対応や状態が悪くなった時にいち早く気付けるように。(Q.書いていないと急変に対応しづらくなる?)そうですね

ほかにも関係者は男性医師の技術について…。

病院の関係者:
よくカテーテルで血管を破っていたとは聞いている。あまり焦った態度はとっていないと思う。(Q.普通は血管を破ることは少ない?)そうですね

また、神戸市は会見で病院の組織的な問題も指摘した。
カテーテル治療に「死因が明らかではない死亡例」があったにも関わらず、病院長は男性医師に聞き取りをするのみで、本格的な調査が行われるまで約半年もかかったという。

神戸市健康局・楠信也保健所長:
(病院長は)「どのような形で委員会を開催したらいいか、十分理解していなかった」と聞いております

病院の対応には医師からも不満の声が相次いでいた。
関西テレビは8月に開かれた、病院を運営する徳洲会グループの幹部と医師たちの会議の音声を独自に入手した。そこには…。

医師A:
今の状況でよろしいと思われてるんですか、本当に

幹部:
そうです

医師B:
真剣に患者に向き合ってください

医師たちは男性医師のずさんな対応に不信感をにじませていた。

医師C:
彼は明らかに自分で血管損傷をしたにもかかわらず、血管損傷したという事実を患者に伝えていなかった

幹部:
そういうこと、それは本部でちゃんとやりますので

医師C:
そういう人を信用できますか?

幹部:
信用しなかったら仕方ないです

医師D:
男性医師と医局員の間で、全く信頼関係は成立していません

匿名の告発を受け、半年遅れで調査に乗り出した病院。問題となったカテーテル治療は当面中止している。
地域医療の役割を果たすためにも、早急な検証が求められている。

(関西テレビ「newsランナー」2023年8月28日放送)

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