「次の総理」世論調査で石破氏トップ、岸田首相は4位

FNNは8月19・20日の両日、全国の有権者を対象に電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し1018人から回答を得た。岸田内閣の支持率は、前月の調査より0.2ポイント上昇し41.5%となり、不支持の53.5%より下回ったものの、3カ月連続の下落が下げ止まった。

FNN世論調査より(8月19・20日実施)
FNN世論調査より(8月19・20日実施)
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そしてこの調査では、「次の総理大臣にもっともふさわしいと思う政治家は誰か」について10人の政治家の名前をあげて聞いた。結果は次の通りだ。

石破茂   14.2%
河野太郎  10.7%
小泉進次郎 10.4%
岸田文雄   8.3%
菅義偉    8.0%
高市早苗   6.2%
林芳正    2.0%
茂木敏充   1.7%
野田聖子   1.5%
泉健太    0.4%
この中にいない 30.3%

このように石破元幹事長がトップとなり、河野デジタル相、小泉元環境相、岸田首相、菅前首相と続いた。石破氏は、閣僚や自民党の要職を外れて久しく、自らの派閥「石破派」を解消し緩やかなグループ化するなど政府自民党内での存在感は低下しているが、一定の国民の間に根強い人気があることが見てとれる。

トップ3は2021年の総裁選で河野氏を推した「小石河連合」
トップ3は2021年の総裁選で河野氏を推した「小石河連合」

そして石破氏に、河野氏、小泉氏を加えた3人は2021年の総裁選で河野氏を推し「小石河連合」と呼ばれた面々だ。昨今、この3人の連携は鳴りを潜めているが、3人足して35%を超える数字は、来年の総裁選での再選を目指す岸田首相にとって無視できない数字と言えそうだ。

今年1月の調査と比較すると河野氏が急落

一方、今年1月のFNN世論調査でも「次の首相にふさわしい人」を尋ねていたが、7カ月が経ち、大きく変わった点がある。1月は岸田首相を選択肢に入れていなかったが、残りの9人について、1月と比較してみると以下となる。

        今回     1月
石破茂     14.2%  15.1%
河野太郎    10.7%  19.7%
小泉進次郎   10.4%  10.9%
菅義偉      8.0%    8.7%
高市早苗     6.2%    6.4%
林芳正      2.0%       1.4%
茂木敏充     1.7%       1.1%
野田聖子     1.5%       0.5%
泉健太      0.4%       1.1%

一目瞭然だが、1月と比べほぼ横ばいのケースが多い中で、河野氏だけが1月から9ポイント急落し、支持がほぼ半減しているのだ。理由はマイナンバーをめぐる数々のトラブルと、その対応への批判と見て間違いないだろう。将来首相を目指すと公言してきた河野氏にとっては、ポスト岸田を狙う上で、やや暗雲が立ちこめる数字と言えそうだ。

自民党支持層では岸田首相はトップに君臨

一方、総裁選の党員票の数字に比較的近い、自民党支持層に限った調査結果を分析してみると、順位は大きく変わる

岸田文雄    15.5%
石破茂     14.4%
河野太郎    13.4%
小泉進次郎   10.2%
菅義偉      8.5%
高市早苗     6.4%
茂木敏充     3.0%
林芳正      2.6%
野田聖子     2.1%
この中にいない 17.8%

自民党支持層では岸田首相がトップとなり、現役首相の面目を保った
自民党支持層では岸田首相がトップとなり、現役首相の面目を保った

このように、自民党支持層で見ると、岸田首相がトップとなり現役首相の面目を保った。石破氏、河野氏、小泉氏が肉薄しているものの、この3氏は自民党内の基盤が薄いことを考えると、党内に一定以上の基盤がある人物の中では岸田首相の数字は安定したものと見ることもできる。

無党派に限ると岸田首相は6位に転落

また、衆議院の解散総選挙があった場合に勝敗のカギを握るのは、無党派層の動向だ。そこで全体のおよそ4割を占める「支持政党なし」と答えた人に限っての数字を見ると、以下のようになる。

石破茂      11.6%
河野太郎     10.8%
小泉進次郎     9.7%
菅義偉       6.9%
高市早苗      6.0%
岸田文雄      3.2%
野田聖子      1.9%
林芳正       1.5%
茂木敏充      0.9%
泉健太       0.3%
この中にはいない 40.4%

このように、石破氏、河野氏、小泉氏の順で、調査全体の順位と上位は変わらない中、岸田首相が、菅氏、高市氏の後塵を拝し、6位に転落してしまった。自民党としては、選挙の顔としての岸田首相にやや不安が残る結果とも言える。

内閣改造・自民党役員人事に影響は

そして、この世論から各政治家への支持の度合いは、9月中に行われる見通しの内閣改造・自民党役員人事と、岸田首相がその機会をうかがう解散総選挙にも影響してくる。

石破氏に関して言えば8月4日夜に、石破氏、岸田首相、岸田首相に近い遠藤利明総務会長の3者が都内で会食したことが話題になった。会食場所も赤坂の料亭「浅田」と格式が高く、岸田首相が石破氏の動向に気をつかっているとの見方や、岸田首相は石破氏を要職に起用し、人事の目玉にするのではないかとの臆測も呼んでいる。今回の調査結果を見ると、岸田首相がそうした思惑を抱いたとしても不思議ではない。

マイナンバー問題で批判が大きい割には、河野デジタル相“続投”を支持する人が多い
マイナンバー問題で批判が大きい割には、河野デジタル相“続投”を支持する人が多い

また、河野氏については、1月に比べ数字が急落したことは、岸田首相にとってマイナンバー問題に関する政権のダメージである一方、ポスト岸田を狙うライバルが力を落としたと見ることも出来る。今回の調査で河野氏がデジタル相を続投して欲しいか尋ねたところ、続投して欲しい人が52.2%で、交代して欲しい人の38.1%を上回った。河野氏への批判が大きい割には続投を支持する人が多いのだ。岸田首相にとって、河野氏が大臣としてマイナンバー問題の批判で矢面に立ち踏ん張ってくれていると映る数字で、河野氏続投論の追い風になるかもしれない。

菅前首相の再登板を期待する人が8%いることも特筆に値する
菅前首相の再登板を期待する人が8%いることも特筆に値する

とはいえ、総裁選は、こうした世論調査の数字だけでは計り知れない派閥の合従連衡や、有力者たちの駆け引き、突然の世論の風などがつきものだ。菅前首相の再登板を期待する人が8%いることも特筆に値するし、数字上それほど大きな支持は受けていない茂木幹事長らが、今後の展開次第で一躍ポスト岸田として注目されることもありうるだろう。

来年の自民党総裁選と、2年強の間に行われる総選挙を見据え、岸田首相がさらなる長期政権を築くのか、それとも誰かがポスト岸田として躍り出るのか、まずは内閣改造・自民党役員人事が注目される。

(フジテレビ政治部)

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日本の将来を占う政治の動向。内政問題、外交問題などを幅広く、かつ分かりやすく伝えることをモットーとしております。
総理大臣、官房長官の動向をフォローする官邸クラブ。平河クラブは自民党、公明党を、野党クラブは、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会など野党勢を取材。内閣府担当は、少子化問題から、宇宙、化学問題まで、多岐に渡る分野を、細かくフォローする。外務省クラブは、日々刻々と変化する、外交問題を取材、人事院も取材対象となっている。政界から財界、官界まで、政治部の取材分野は広いと言えます。