7月の記録的な大雨から1カ月余りが経過したが、秋田県内はいまなお爪痕が深く残る。被害が特に大きかった秋田市の「いま」と今後の課題について考える。

各家の前にはまだ災害廃棄物が積まれ…

秋田市広面谷内佐渡地区は、降った雨の量が排水能力を超えてあふれ出す「内水氾濫」と、近くを流れる太平川の氾濫が同時に発生し、深刻な被害が出た。

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この地区は、大人の腰あたりまで水位が上がり、消防などがボートで住民を救助した。

この地区を含め秋田市では、これまでに5,000件以上の住宅で床上・床下浸水が発生したことがわかっていて、被害の調査は現在も続いている。

大雨から1カ月余りがたったが、地域を見てみると、各家の前にはまだ災害廃棄物が積まれている。この“災害廃棄物”が復旧に影を落としている。

広範囲への被害 さらに人手不足も…

山積みの廃棄物 しかし、ごみの回収が進んでいない地域もまだある
山積みの廃棄物 しかし、ごみの回収が進んでいない地域もまだある

秋田市の災害ごみの仮置き場となっている空港跡地には、廃棄物が山のように積まれている。5,000件を超す浸水被害があった秋田市内では、ごみの回収が進んでいない地域も多く、その総量はまだうかがい知ることができない。

床上浸水した住宅に再び住むためには、床下の泥を片付けたあと消毒が必要だが、室内のごみが片付かなければ消毒作業ができない。秋田市は回収作業を急いでいるが、想定以上に量が多く、人手が足りずに回収が追い付いていないのが現状だ。

7月15日、秋田市広面にある自転車店・進藤輪業の様子
7月15日、秋田市広面にある自転車店・進藤輪業の様子

今回の大雨で深刻な被害を受けた秋田市広面の自転車店・進藤輪業では、7月15日の午前中、わずかな時間で一気に水が上がってきた。

住民は畳を上げたり、家具を寄せたりしたものの水の勢いはすさまじく、すぐに近くのコミュニティセンターに避難したという。

自転車店「進藤輪業」・進藤哲雄さん
自転車店「進藤輪業」・進藤哲雄さん

家主の進藤哲雄さんに話を聞くと、1階部分に冷房などはなく、過酷な状況の中で復旧作業にあたっているという。被害を受けた範囲が広いため、冷房や畳などは注文しても届くまでに時間がかかり、生活再建への道のりは険しそうだ。

支援を受けるための“罹災証明書”発行はいまだ1割のみ…

また、急がれるのは罹災(りさい)証明書の発行だ。罹災証明書は、被災者がさまざまな支援を受けるために必要だが、秋田市では8月18日現在、7,008件の申請があるのに対し、発行は約1割にあたる746件にとどまっている。

記録的大雨から1カ月余りが過ぎたいまも、多くの人々が元の暮らしを取り戻せていない。復旧はまだ道半ばだ。

今後何が必要なのか、どう支え合っていくのか。「現場」の声に耳を傾けながら、あらためて考えていく必要がありそうだ。

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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