月の表面の地形などを再現した鳥取砂丘の実験施設「ルナテラス」で、「月面探査車」の走行テストが行われた。2023年7月のオープン後、初めての利用で鳥取県が目指す宇宙開発産業の拠点へ一歩を踏み出した。

鳥取砂丘の環境を生かした月面実証フィールド

月面に見立てたフィールドを走るのは、東京の企業が開発を進めている月面探査車。8月3日、鳥取市の鳥取砂丘にオープンした月面実証フィールド「ルナテラス」で初めて行われた実験が公開された。

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「ルナテラス」は、砂地に覆われ、月面に似た鳥取砂丘の環境を生かして、宇宙関連産業の拠点を作ろうと鳥取県が整備した。

初実験は「探査車が月面で想定通りに走行できるか」

初めての実験を行ったのは、宇宙体験コンテンツの制作などを手掛ける鳥取市の企業「amulapo」と、資源調査用の月面探査車の車両や遠隔操作技術の開発に取り組む東京の2つの企業だ。

実験走行中の探査車
実験走行中の探査車

この日の実験では、探査車が月面で想定通りに走行できるかを確かめた。月面での使用を想定して、2kmほど離れた場所から遠隔操作し、探査車からの映像を頼りに、箱で隠された青いボールを探し出した。

しかし、実験中にハプニングが発生し、探査車が突然動かなくなってしまった。車を調べると、タイヤが曲がってしまっていたが、このハプニングを開発担当者は前向きに受け止めていた。

アミュラポ・松広航さん:
月に行ったときに、失敗しないミッションを探っていかなければいけないので、今回、こういう状況が見られたのは大きな収穫になるんじゃないかと思っている

これまで、公園の砂場など狭い場所で実験を重ねてきたということで、広さのある「ルナテラス」で起きた初めてのトラブルは、今後の開発にとって貴重な収穫だったと評価した。

アミュラポ・松広航さん:
モノづくりをしたものは、繰り返し試験をして、初めて技術として完成するものだと思う。このフィールドがあることによって、月面開発の技術はどんどん成長していくなと感じている

「ルナテラス」では、県外の企業による実験が今後も予定されているということで、国内では珍しい月面環境を再現した実験フィールドへの関心は高まっているようだ。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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