「ふるさと納税」の寄付額アップを目指して、鳥取・北栄町は、2023年4月民間企業からアドバイザーを受け入れた。着任から3か月、北栄町の「ふるさと納税」の魅力向上のため新たな「返礼品」を開拓しようと奔走するアドバイザーに密着した。

東京のコンサル会社から受け入れ

2023年4月、北栄町に着任した「地域活性化企業人」の大西浩嗣さん。

この記事の画像(15枚)

町が総務省の制度を活用して、東京のコンサルティング会社から受け入れた。月に10日以上、町内に滞在し、地域独自の魅力や価値の向上につながる業務を担う。

北栄町・手嶋俊樹町長:
(北栄町は)30億、40億のポテンシャルはあると思う。まずは10億、20億を目指したい。

町長が掲げたのは「ふるさと納税」の目標寄付額。2023年度、大幅な増額を狙っていた。大西さんの一番のミッションだ。

着任から3か月、再び北栄町を訪ねた。

8キロ以上のスイカ 「めっちゃ甘い」

取材日、大西さんが向かった先は町内の農場「アグリすぎかわ」。大西さんが訪れると、農家はスイカの出荷に追われていた。

この農家で作られているスイカ「羅皇ザ・スウィート」。重さは8キロ以上となっている。

鳥取県内最大のスイカ産地・北栄町でも生産量は少なく、“知る人ぞ知る”人気の品種だ。大西さんは、「ふるさと納税」の新たな「返礼品」として、この「羅皇ザ・スウィート」に目を付けた。

スイカを持ち上げた大西さん。重さを実感すると、満足そうに笑みを浮かべた。

また、実際にスイカを切って中の様子を確認。

「めっちゃ甘い」とその出来栄えを確かめ、顔がほころんだ。「リピーターも多いと思う」と話す。

10年で100倍以上に寄付額増加

北栄町の「ふるさと納税」は2022年度の寄付額は約8億1000万円となっている。2012年度には約620万円で、この10年間で100倍以上に伸びた。

ナシやスイカなどの農産物や地元出身のマンガ家・青山剛昌さんの代表作「名探偵コナン」のグッズなど、魅力的な返礼品を増やしたことで寄付額の大幅な増加につながった。これをさらに伸ばしてほしいと、町は大西さんの“手腕”に期待している。

北栄町・手嶋俊樹町長:
大西さんは40事業者ぐらい、本当に多くの事業者に行っていろんな話をいただいている。外部から見て、まだまだ北栄町にポテンシャルがあるんじゃないか、眠っているんじゃないか、そういうところを掘り起こしていただきたい。

用意した100個すべてが1か月で完売

大西さんが発掘した「羅皇ザ・スウィート」は、5月下旬に1万1000円の返礼品に設定されると、わずか1か月で用意した100個すべてに申し込みがあったという。

アグリすぎかわ・杉川一二美さん:
最初は50個いけばいいかなと思っていたけど、SNSで上手にアップするなど、大西さんの力添えがあって、あっという間に“完売”した。

SNS効果的に 生産者の姿公開!

大西さんがアドバイスしたのはSNSの効果的な使い方。収穫作業などを通じて生産者の姿を見せることで、商品の訴求力を高めた。

アグリすぎかわ・杉川一二美さん:
「うち、こういうのを出しているんですよ」というPRの仕方がわからなかった。そのやり方を大西さんが教えてくれた。

農家にとっても、町にとっても大きな収穫。

杉川さんは「羅皇ザ・スウィート」の作付けをさらに増やすつもりだ。

北栄町地域活性化企業人・大西浩嗣さん:
“発掘”から出荷まで関わらせていただいて、手ごたえも十分あった。ただ、事業者が返礼品に対して前向きにとらえてくれるおかげでもあるので、次につながるような、自分ができることはどんどんやっていきたい。

都会地からやってきた“よそ者”ならではの目線で新たな町の魅力を発掘する大西さん。
まずは、2023年度、「ふるさと納税」寄付金10億円達成を目指す。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

鳥取・島根の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。