甚大な被害が出た7月10日の大雨から3週間あまりが経過した。被害が出た大分県日田市や中津市は、過去にも度々水害に見舞われていて対策が施されてきた。住宅街への浸水を防ぐために設置された門や、流木をせき止めた鉄の棒など、その対策の効果を取材した。

住宅街への浸水防いだ“門”

7月10日、大分県内を襲った大雨。特別警報が出された中津市では山国川が氾濫。

それでも、中津市の樋田地区では今回の大雨による住宅街への浸水被害はなかった。その時に活躍したのが樋田陸閘。

樋田地区は2012年の九州北部豪雨の際、山国川の水が流れ込み多くの住宅で浸水被害が出た。これを受け2017年に設置されたのが陸閘と呼ばれる門。高さは約1.5メートルで川の状況を見ながら地元の消防団が手動で閉める。

樋田陸閘
樋田陸閘
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7月10日の樋田地区の様子をみると、川から溢れだした濁流が住宅街のすぐそばまで押し寄せているが、門を閉めたことで水がせき止められている。手前の水が門を超えておらず、その効果が分かる。

7月10日の様子
7月10日の様子

山国川河川事務所の添田昌史さんは、
「しっかりと陸閘の方が閉まって、効果の方を最大限発揮できたのではないかと思っている。なければ間違いなく浸水が発生したという水位まできていたと思う」と話す。

過去に浸水被害にあった地区の住民からは、
「水門がないときは水が入ってちょっと低い家は床上浸水。今回は水が全然入ってこなかったので随分安心した」という声が聞かれた。

大量の流木せき止めた鉄の棒

一方、日田市小野地区にある小野川では、川の途中に杭のようなものが設置されていて、そこに大量の流木がせき止められていた。

2017年の豪雨で小野川は氾濫。約16億円かけて復旧工事が行われ、その際、新たに整備されたのが「小野川スリット」。くし状に鉄の棒を置くことで流木をせき止める。

小野川スリット
小野川スリット

今回の大雨では大量の流木が引っかかっていて、下流に流れ込むのを防いでいた。

日田土木事務所の築地祐一郎さんは、
「この木が全て下流まで流れていったときには河川を塞いだり、橋梁をせき止めてしまったりと被害が予想されるので、事業の効果としては非常に高いものがあると思う」と話す。

小野川スリットがせき止めた大量の流木
小野川スリットがせき止めた大量の流木

造設した水路で水溢れず

一方、同じ日田市を流れる大肥川では、大きなカーブがあり2017年の豪雨では、この部分から水が溢れ周辺の大鶴地区に甚大な被害がでた。

そこで、県は本来の川とは別に水の逃げ道となる直線の大きな水路を造設。
この地区では今回、6年前と同じ程度の雨が降りましたが大肥川の水が溢れることはなかった。

新設した水路
新設した水路

しかし、川の沿線では改修した護岸が再び崩れている場所もあり想定を上回る状況だったということだ。

「我々もがんばって整備はしていくが、全て100%安全に整備できるというのも、予算の規模としても難しいものもある。いつ自分の身が危険になるかわからないといったところで常日頃から気をつけてほしい」(日田土木事務所 築地祐一郎さん)

ハード面の対策は一定の効果があるものの限界もあり1人1人の防災意識が重要だ。

(テレビ大分)

テレビ大分
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