7月27日午後3時から日本外国特派員協会で緊急会見を行った、卓球の元台湾代表の江宏傑さん(34)。元妻の福原愛さん(34)に対し「子どもを返してほしい」と訴えた。
この記事の画像(35枚)共同親権で合意も「連絡途絶えた」
江宏傑さん:
みなさんこんにちは。江宏傑と申します。本年7月20日、日本の裁判所の審判結果を受け取りました。福原愛さんに対し、息子を私に引き渡すように命ずる内容です。私からは日本の裁判所の審判に感謝申し上げるとともに、「早く息子に会いたい」ということを申し上げたいです。
時折涙をぬぐいながら「息子に会いたい」と話した江さんは、現在福原さんと一緒にいる長男を引き渡すよう、日本の裁判所から保全命令が出たことを明らかにした。その上で福原さんに対しこう呼びかけた。
江宏傑さん:
福原さん、ぜひ日本の裁判所の裁判の結果に従って、平和的な形で子どもを返してほしいと思っています。
この会見に対し、福原さん側は新たな声明文を発表した。
福原さん側の声明:
いずれの国の事件も家事事件であり、誘拐等の刑事事件は全くありません。
幼い頃から「泣き虫愛ちゃん」と親しまれ、日本の卓球界をリードした福原さん。オリンピックでは2大会連続でメダルを獲得した。
そして、リオ大会終了直後の2016年9月、「台湾の卓球王子」と呼ばれた江さんとの結婚を発表。日本と台湾の両方で結婚会見を開くなどして話題を集め、2人の子どもにも恵まれたが、2021年に離婚した。
2人の子どもは、離婚後も父と母の双方が親権を持つ「共同親権」で合意したとしていた。
江さんの台湾の代理人 スン・ソンポー弁護士:
面会交流のために息子さんを福原さんに引き渡したところ、福原さんが1週間後に江さんとの連絡を絶ちました。
江さん側は、福原さんが2022年の夏休みに子どもたちに会うために台湾を訪れ、長男だけを日本に連れ帰ったと主張。福原さんは長男を台湾に戻す事を拒み、連絡も途絶えたとしていた。
この問題には、台湾でも高い関心が寄せられている。
台湾市民(男性):
子育ては(父母)2人のことだから、何も言わずに連れ去ったのは良くない。
台湾市民(女性):
(江宏傑さんが)子どもと連絡が取れて会えることを望んでいます。
福原さん側から連絡なく…強制執行を申し立て
江さん側が日本の裁判所に申し立てを行った結果、7月20日、子どもを江さんに引き渡すよう命じる「保全命令」が福原さんに出されたという。
江さんの台湾の代理人 大渕愛子弁護士:
「直ちに子どもを引き渡すように」という、この保全の命令が出されるというのは非常に珍しいです。非常に少ないです。よほどのことがない限り裁判所は認めてくれない。
しかし、福原さん側から引き渡しに応じるという連絡はなく、江さん側は福原さんから子どもを引き離す、強制執行の申し立てを行ったという。
江さんの台湾の代理人 大渕愛子弁護士:
それにもかかわらず、何ら返事もしない。引き渡しを行う考えがありますか?という質問です。時期や場所などについては協議をしましょうと言っていて、ただ、引渡しを行う考えがあるか否か、という質問にも答えない状況です。
フジテレビの平松秀敏解説委員は、今回、保全命令が出たことが今後の争いにおいて大きなポイントとなると指摘する。
平松秀敏解説委員:
ポイントは2つあります。それは「保全命令」と「強制執行」です。保全命令は、緊急の措置なので、福原さん側は直ちに子どもを引き渡す必要がある。これは子どもの人権に配慮した、そういうことだと思います。
もしも引き渡されない場合は、強制執行の申し立てをしていますから、子どもの引き渡しを本当に強制的にする可能性があると思います。最終的には執行官が出てきて、子どもを強引に強制的に引き剥がして、江さん側に引き渡すという可能性もゼロではないということです。
対立する“双方の主張”
江さんの会見に先立って福原さんは自身のSNSに、福原さん側の日本と台湾の弁護士の連名による声明文を投稿した。
福原さん側の主張:
裁判は日本と台湾の裁判所で審理されています。台湾側の裁判官は事件の内容を公にしないよう指示していて、江氏には裁判官の要求に違反しないよう強く求めます。
これに対し、江さん側は会見で反論した。
江さんの台湾の代理人 大渕愛子弁護士:
2つの全く違うこと(審理)を混乱させて書いている。台湾の裁判は確かに継続していますが、それと日本における審判は全く別のもので関係がありません。台湾の裁判所で日本の審判について公開してはいけないということを言うはずがないですし、それは全く別のことです。
会見に出席していた台湾メディアはこの問題をどう見ているのか。
台湾メディアの記者:
江さんがすごく子どもを(返して)ほしいという気持ちが伝わってきた。今日は一方的な片側の記者会見になっているので、福原愛さんの意見も聞きたい。福原さんの答えはどうなっているか、それ次第ですけど、とにかくテレビとかに出てちゃんと述べてほしい。
江さん側は刑事告訴の可能性も示唆
この会見に対して福原さん側は声明を発表し、こう主張した。
福原さん側の声明:
子どもたちはまだ幼く、非常に傷つきやすい立場にあります。本人は、まず母親として一番に子どものことを守るべきであると思っております。子どもたちを利用したり傷つける形で、公の場で争うことは避けたいと考えております。
江さん側は、子どもの引き渡しが実現しない場合について、刑事告訴する可能性についても示唆した。
江さんの台湾の代理人 大渕愛子弁護士:
発表できることは何もないんですけれども、選択肢としては未成年者誘拐罪での告訴、そういったことが考えられると思います。
江さん自身は、会見の最後に改めて子どもへの思いを口にした。
江宏傑さん:
私も諦めません。早く子どもに会いたい。
福原さんが新たな声明を発表
27日午後7時前、福原愛さんの新たな声明が代理人弁護士を通じて発表された。
声明では、「残念ながら、本日の江氏の記者会見は子どもを守る配慮に欠けていました。日本国内の司法手続きについても、あたかも確定しているかのような誤解を与えつつ、一方的な主張を繰り返していました」「公衆の面前で国際記者会見を開くことは、高度な紛争を引き起こすだけでなく、意図的に両親と子どもの関係を引き裂き、子どもに悲しい思いをさせ、別離を引き起こすものであり、子どもに対する家庭内暴力の一種です」などと反論した。
(「イット!」7月27日放送より)