連日猛烈な暑さが続く日本列島。

都心での猛暑日は7月の観測史上最多となり、全国でも熱中症対策が呼びかけられる中、ともに警戒が必要なのが、日焼けだ。

東京八丁堀皮膚科・整形外科の平山真奈院長に、日焼けによるトラブルや対策を聞いた。

外出自粛で弱い肌に

ーー日焼けトラブルで来院する患者さんは多い?

今年は日焼けの相談が多いです。

コロナで屋外プールや海への旅行を控えていた人が多く、4年ぶりに思い切って楽しんできたら、うっかり日焼けしたというケースが結構あります。

東京八丁堀皮膚科・平山 真奈院長
東京八丁堀皮膚科・平山 真奈院長
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毎年日焼けして、色素沈着が蓄積されている人は赤くなりづらいですが、肌が白い人は赤くなったり、ヒリついたり、(皮膚が)剥けやすかったりします。

なので、定期的に日焼けをしている人であれば大丈夫ですが、コロナの影響で4年の間に色素沈着が抜けて、本来の真っ白い、弱い肌に戻っていたことに気付かず、日焼けをしてただれてしまったという方が多いです。

今年の6月ごろは、石垣島に行くのがちょっとしたブームだったみたいで、6月ぐらいから真っ赤に焼けてしまって水ぶくれがたくさんできた患者さんが多く来院しました。

6月の石垣島は今の東京の日差しと近いものがあったんだと思います。

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ーー日焼け止めの相談で来る患者さんは?

結構多いです。
まず夏の始まりによく来るのが、「去年使っていた日焼け止めの残りを使ったらかぶれてしまった」という相談です。

1年前のものや、中には4年前のものを使っている人もいて、少し古くなった日焼け止めを塗ったことで、お肌が荒れてしまったり、赤くただれたり、ニキビが急激に増えてしまったという相談が多いです。

“塗り”と“飲む”日焼け止め
“塗り”と“飲む”日焼け止め

ーー日焼けにはどういった対策が必要?

大人でしたら、汗をかいたなと感じたら何度も日焼け止めを塗り直したり、日傘などでしっかりと日光を遮光することが大事です。

また、サプリメントで“飲む日焼け止め”というものも最近はいろいろ出ているので、それを飲むことで、浴びてしまった紫外線に悪さをさせず、赤くただれたり、疲れが出たりといった症状を少し緩和させることができます。

水ぶくれが大きくなり剥がれる

対策をせずに強烈な日光にさらされた肌は、火傷と同じで、まず赤くなり、翌日には水ぶくれ状態に発展し、いずれ剥けるという。

こうしたトラブルを予防するためには、長袖を着たり、こまめに日焼け止めを塗り直す必要があると平山院長は呼びかける。

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ーー紫外線の“悪さ”とは?

基本的には、お肌を酸化させてしまうので、色がついてしまう、とか、乾燥させてしまうといったことがあります。

乾燥の乱れが出てくると、そこを治そうとする働きが少し過剰に出てしまって、良くない皮脂が出てくるのでテカったり、ニキビが出てきたりします。

ビタミンDを作るという意味では、日光はすごく大事ですが、日本は日照時間が十分足りているので、積極的に浴びなくても大丈夫です。

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ーー子どもの日焼け対策は?

子どもだと、「長袖を着た方が涼しいんだよ」ということを理解するのが難しくて、水遊びの時にラッシュガードを着てくれなかったりするので、日焼け止めを塗る習慣を付けていただくのがいいと思います。

子どもだと何度も塗り直すのは難しいと思うので、強い日差しの日は、「SPF50」で「PA++++」ぐらいのものを使うのがお勧めです。

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ーー何も塗らないとどうなる?

何もせずに強い日差しを浴びてしまうと、皮膚が真っ赤になってヒリヒリして、翌日ぐらいから小さな水ぶくれができて、それがつながって大きな水ぶくれになってきます。

そして4~5日してくると、カサカサしてきて、ズルンと剥けてきます。
火傷と一緒なので、赤くて剥けるうちはヒリヒリして痛く、辛いです。

“冷やす”と“保湿”

日焼けをしてしまった場合は、火照りが気になる時はまず“冷やし”、そして“保湿”が大事だという。

ーー火傷と一緒ということは傷跡が残る?

傷ほどにはならないと思いますが、色素沈着としての黒ずみや、日焼けが茶色く斑に残ったりします。
また、長年強い日光を浴びていると、細かいシミが増えて来たり、年齢に伴った紫外線によるイボが出来てきたりもします。

半袖焼け、タンクトップ焼けといった、洋服の境目がくっきりと残ったりもします。

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ケロイドになることは珍しいですが、火傷した時の赤い水ぶくれが剥けた後に、かさぶたが残って目立つといった状況が、肩とかに残ることはあるかなと思います。

だいたい2~3カ月かけてゆっくりと治ってはいきますが、あまり気持ちの良いものではないです。2~3カ月は赤み、ガサつき、ザラつきの変化が出てきます。

なので、「たった1日だから」と油断せず、日焼け対策を徹底していただきたいと思います。

日焼けをしてしまったら、なるべく跡が残らないよう、飲み薬や塗り薬を適切に使うよう保険診療で指導していますが、家でできることは、“保湿”と火照りが気になる時は“冷やす”ことが大事です。

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ーー色素沈着は、日頃の蓄えみたいなもの?

そうです。

色素沈着は、紫外線を浴び続ける肌を守るための反応でもあるので、ある種、自分の中で勝手にできてくる“日傘”のようなものです。

体の中を守る働きの1つですが、4年間皆さん、お部屋の中にいたことが多いと思うので、それが抜けたということです。

ぜひ日焼け止めを家族の習慣にしていただけたらなと思います。