7月30日、太平洋側の広い範囲に津波警報が出され、注意報に変わった後、31日夕方にすべての地域で解除されたが、影響は様々なところに起きていた。
津波が川を遡上し町の中心部へ
7月31日午前6字40分頃、宮城・多賀城市の砂押川で撮影された映像には上流に向けて白波が立っていた。
撮影されたのは、海から2km以上離れたJR多賀城駅の近くで、海から遡上した津波が、市の中心部に迫る様子が分かる。

ロシアのカムチャツカ半島で起きた地震から一夜明けた31日、林官房長官は、今回の津波を巡る人的被害について、死傷者が合わせて11人いることを明らかにした。
一方、気象庁は午後4時30分、北海道や東北などに出されていた津波注意報を約32時間ぶりに全て解除した。

こうした中、一足先に津波注意報が解除された神奈川・鎌倉市の由比ガ浜には早速、海水浴を楽しむ人たちがいた。

しかし、依然として津波への注意が呼びかけられる状況は続き、オープンしていた海の家は一部だでけで、様子を見ながらの状況がしばらく続きそうだ。
フェリー内では「食料、燃料は十分積んでいる」の放送も
津波注意報が“長期化”したことにより、交通機関の運転見合わせなど影響は広がった。
北海道・苫小牧港のフェリーターミナルには、津波警報を受けて港に入れず、沖合で待機していたフェリーが31日午前に相次いで入港した。

茨城・大洗港と苫小牧間を航行中だった「商船三井 さんふらわあ」あわせて4便の乗客たちは船で一夜を明かすことになったが、船内では、「十分な燃料、あす(31日)の朝・お昼ごろまで過ごせるほどの食料が十分に積んでおります」という放送が流されていた。

フェリーは港の沖合を大きな円を描くように航行し、一夜を海上で過ごしていた。

乗客からは「こんなに遅くなるとは思わなかったが、無事に帰れてよかった」「(船の中で出た)カレーがめっちゃおいしかった」という声が聞かれた。
「開かずの踏切」の原因は運転を見合わせた電車か
津波警報などによる影響は様々な交通機関に及び、30日、一部区間で運転を見合わせたJR東海道線の辻堂~茅ヶ崎駅間にある踏切では、警報音が鳴り響く中、手でこじ開けて車を通す人たちの姿があった。

JR東日本によると、運転を見合わせた列車が近くにあったため、踏切が閉じたままの状態になってしまった可能性があるという。
長時間にわたって踏切が閉じたままになり、やむを得ず遮断棒をこじ開ける人が続出してしまったとみられる。
一方、30日夜の東京・新橋駅前は、東海道線が運転を見合わせた影響で、普段の活気が消えていた。

首都圏でも列車の運転見合わせが広い範囲に及んだことについては、「普段お世話になっているのでこれくらいは許容します」「びっくりしました。カムチャツカだったので、そこまで影響があるのかと」と様々な声があった。
JR東日本は、マニュアルに沿った対応だとした上で、津波の浸水が想定される区間を設定し、その区間内に警報や避難指示が発令されている場合は、区間内に列車を入れない措置を行うと説明している。
千代田区に“称賛”の声
こうした中、迅速な津波警報対策をとった東京・千代田区が注目されている。
大量の帰宅困難者が発生する恐れがあるとして、区と協定を結んでいる帰宅困難者受け入れ施設に対し、施設を開くよう要請。

その呼びかけに対し、高級ホテル「ザ・ペニンシュラ東京」や「共立女子学園」など12施設が応じたのだ。

SNSには「千代田区グッジョブ」「千代田区ありがとう」などの投稿が寄せられた。

千代田区の樋口高顕区長は「今回初めて稼働させたが、しっかり有効に働いたと考えている。(SNSの)声を受けありがたく思っている。これからも千代田区は迅速に対応していきたい」と話している。
(7月31日「イット!」放送より)