夏山シーズンを迎え、大山をはじめとする山陰の山でも登山者を多く見かける。こうした人たちの間で、近年、利用が進んでいるのが「登山用アプリ」だ。
GPS機能により現在地や登山ルートが分かるため便利な半面、使い方を誤ると、逆に遭難につながるおそれがあるという。ベテラン山岳ガイドに、アプリを利用するうえでの注意点を聞いた。

登山者に人気の「登山用アプリ」

近年のアウトドアブームで人気の登山。

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夏山は、冬山に比べて安全と考えがちだが、熱中症のリスクもあり、事故や体調を崩すケースが目立つ。

鳥取県警によると、鳥取県内で2022年の1年間に発生した山岳遭難は31件で、このうち19件が5月から10月にかけて発生し、冬以外のシーズンが半数以上を占めている。

こうした中、安全な山登りのために広く利用されているのが「登山用アプリ」だ。

実際に利用する登山者に聞いてみると、「残りの距離などが正確に分かるので助かっています」とそのメリットを教えてくれた。

この「登山用アプリ」、一体どのようなものなのか。
杉谷紡生記者がベテランの山岳ガイドに同行してもらい、実際に鳥取県の大山で使ってみた。

日本山岳ガイド協会・久保昌之さん:
登山ガイドをしています、久保です。よろしくお願いします

日本山岳ガイド協会の久保昌之さんは、登山歴50年以上というベテランガイドだ。

登山道を5分ほど歩くと…
登山道を5分ほど歩くと…

登山道を5分ほど歩いたところで、立ち止まった。

日本山岳ガイド協会・久保昌之さん:
十字路がありますね。ここで、自分たちの立ち位置を確認してみて、どっちに進めばいいのか確認しましょう

アプリの画面には、登山ルートが赤、歩いてきた道が青い線で示されている。GPSの機能で現在地が表示されるため、ルートから外れていないか確認できる。

使い方を誤ると思わぬ“落とし穴”も…

これで道に迷うリスクを減らすことができる反面、使い方を誤ると、かえって危険を招くこともあるそうだ。

日本山岳ガイド協会・久保昌之さん:
アプリには、「岩場があって難所」だと書かれていない、非常に危険なところ。ここを通れるかどうかは、その人のスキルの問題、装備の問題になる

久保さんによると、アプリ上に示される複数のルートの中には、上級者が通った「穴場」ルートや、本来は登山道ではない危険なルートも含まれていて、初心者がそうとは知らずに向かってしまうケースもあるという。

日本山岳ガイド協会・久保昌之さん:
こういう岩場や道があるんだなと確認した上で来ていただくのが、一番良い

こうした思わぬ“落とし穴”を避けるために、久保さんは、事前に下調べし、準備を整えた上で、山に入るようアドバイスしている。

安全面でのメリットも大きい「登山用アプリ」。頼り過ぎは禁物だが、正しく使って、登山を安全に楽しみたい。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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