6月29日、北海道蘭越町で地熱発電のための掘削作業中に、突然、水蒸気が噴き出しました。

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掘削現場で採取された水からは、飲料水基準の2100倍となる高濃度の「ヒ素」を検出。体調不良を訴える人も出てきています。

掘削を行う三井石油開発は、7月10日に2回目の住民説明会を実施。

当初、報道陣への公開は説明会冒頭のみの予定でしたが、これに対して参加した住民からは不満の声が。

住民:
質問があるんですが、記者はなぜ退室するんですか?
できるだけ正確な情報を隠さずに、皆さんに広く伝えるってことが非常に重要だと私は思っているんです。そういう意味で、記者からきちんと取材を受ける、取材してもらうというのはすごく重要なことだと思います。

会社側:
ご意見ありがとうございます。申し訳ございません。

当初、会社側はこの提案を断りますが、「社長はそれでいいんですね?」「どのみち隠すことはないでしょう?」と約10分間議論が続き、最終的に説明会の全てが公開されることになりました。

これまでに4人が体調不良を訴えている、今回の問題。説明会では健康被害について切実な訴えが…。

住民:
私たちは24 時間365日、あの空気を吸って生きております。今までのお話で蘭越町、おらが町の大事な農作物のことを心配されている農家さんの気持ち、よく分かります。
でも、私たちの命のことは一言も出ていません。“忘れられた住民”です。事実をすべて開示してください。私たちに信頼感をください。今はあなた方を信頼できません。お願いします、命がかかっているんです。

「命がかかっている」と訴える住民。

住民らが不安視するのは、健康被害だけではありません。作っている農作物にもすでに風評被害が出ているといいます。

住民:
“風評被害”という形で(影響が)出ています。本日出荷予定のお米がストップかけられております。今後の対応を、聞かせてほしいなと。

住民:
私も直接お客さんに農作物や加工品を届けて生きています。30年間必死に築いてきたのは何だと思いますか?「信用」ですよ。あなた方はそれを担うことは、絶対に!できない!

また、住民からは補償についての質問も相次ぎました。

住民:
今回の事故に関する補償の部分で、因果関係がどうとか、 すごくこだわっているように感じるんですよ。もう、どれだけ責任を回避できるかっていう感じで聞こえてしまって。どれだけ補償してくれるのか、対応してくれるのかっていうのが分かりません。

三井石油開発株式会社 原田英典社長:
補償につきましては、色々と様々な事情があると思いますので、個別にご相談させていただいて、誠意のある対応で…。

住民:
そういう言い訳みたいのはいらないので、全面的に補償するのかしないのか、はっきりしたことを言ってください。

三井石油開発株式会社 原田英典社長:
個別にご相談させていただきまして、誠意を持って対応させていただきます。

今後の対策として会社側は、大量の水を注ぎ込むことで温度を下げ、蒸気の噴出を抑える方針です。

蒸気の噴出を抑え込むのには、早くとも来月下旬までかかる見通しだということです。

(めざまし8 7月11日放送)