富山・高岡市の高岡古城公園に半世紀以上展示されている蒸気機関車が、この夏、SLの営業運転で人気の静岡県の鉄道会社、大井川鉄道に譲渡されることになった。

1969年から展示されてきた蒸気機関車

静岡県の鉄道会社・大井川鉄道に譲渡されるのは、高岡古城公園に1969年から展示されている蒸気機関車。この蒸気機関車は、1941年に造られ、岐阜や愛知、富山県内の城端線、氷見線などを走ったあと、旧国鉄が高岡市に無償で貸与したもの。

高岡古城公園に1969年から展示されている蒸気機関車
高岡古城公園に1969年から展示されている蒸気機関車
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古城公園の観光名所ともなっていた蒸気機関車。

大井川鉄道と高岡市、所有者であるJR西日本が、2021年から譲渡に向けた調整を進め、有効活用に向けて合意した。

譲渡先の大井川鉄道は静岡・島田市で、旧国鉄がSLを廃止した直後の1976年から、国鉄の車両を譲り受けSLの営業運転を続けてきた。

鉄道の原点とも言えるSLは観光客や鉄道ファンから人気を集めているが、老朽化に伴う維持・修繕が課題となっていた。

そうした中、全国の展示SLを調べ、現在走行させている4両のうち2両を占めるC11形と形式が同じで、車両の状態も良かったことから、高岡古城公園のSLに目をつけたという。

大井川鉄道広報室・山本豊福さん:
同じ型のもので、部品とかを調達しましてわれわれのC11を維持していく

さらに、古城公園のSLに書かれている「217」という番号にも注目したと言う。

大井川鉄道広報室・山本豊福さん:
今われわれのところにあるのがC11の190と227。これは製造順の番号で(217の古城公園のSLは)比較的製造年数が近い。部品の融通は利きやすいのではないか。われわれのSLの維持に本当に有効に使えると思う

「C217」が再び走る可能性は…

2022年、兵庫県の公園に展示されていたSLをレストアし、再び走らせるプロジェクトに乗り出し全国的にも注目された大井川鉄道。古城公園のSLも同じように復元し走らせる可能性については…。

大井川鉄道広報室・山本豊福さん:
丸々復元というのができるのであれば、それまでやってしまいたいという思いはあるが、可能性としてはわれわれの現状あるSLを末永く使うために(古城公園の)217号機を有効に使いたいという言い方になる

大井川鉄道への譲渡について高岡市民は…。

市民:
寂しいより、うれしい。お役に立てるなら

公園の利用者:
ここから旅立つなんてすごい。頑張ってほしい

市民:
1駅だけだけどこれに乗っていた。だからすごく思い入れがある。ちょっと寂しい。晴れの舞台で、また、生かしてもらえるというのは機関車にしてもうれしいと言っているかもしれない

引き渡しのセレモニーが7月10日に開催され、その後、解体・移送が行われるという。車両を丸々譲り受けるのは異例なことだそうで、屋根つきの展示スペースに置かれていたことが、腐食などの少ない比較的良い状態を維持できた要因とも言えそうだ。

(富山テレビ)

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