マスク着用が個人の判断となっている現在、以前と比べて親と子ども、それぞれにどのような心境の変化があるのだろうか?

株式会社コールドクターは4月、小学生以下の子どもがいる全国の20~59歳の500人を対象に調査を実施。子どもがマスクを外す時間が増えて変わったことを聞いたところ、約4人に1人の24.6%が「表情が明るくなった」と回答した。

「笑顔が増えた」は16.3% 、「会話が増えた」は12.3%で、最も多かった回答は「変わったことはない」だった。

マスクを外す時間が増えて変わったこと(提供:コールドクター)
マスクを外す時間が増えて変わったこと(提供:コールドクター)
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実際の子どものマスクの着用状況を聞いたところ、「常にマスクをしている」場面として最も多かったのが3月13日以前と同様に「人通りが多い街中を歩いているとき」で、46.0%。

また調査をした4月当時で、「常にマスクをしている」小学生以下の子どもの割合はすべての場面において50%以下となり、マスクの着用が減っていることも分かっている。

一方で、マスクの着用を「全くしていない」子どもは2割程度だった。

子どものマスクの着用状況(提供:コールドクター)
子どものマスクの着用状況(提供:コールドクター)

子どもがマスクの着用に対し、どのように思っているかも聞いており、約半数の子どもが「ムシムシするから嫌だ」「邪魔だから嫌だ」とのことだった。

また「習慣だからつけたい」が17.1%、「素顔を見られるのが恥ずかしいからつけたい」は10.0%と、マスクが習慣化している子どもが一定数いることも明らかになっている。

子ども自身のマスクに対する思い(提供:コールドクター)
子ども自身のマスクに対する思い(提供:コールドクター)

「子どものマスク着用」についての親の思いは、66%が「必要に応じてつけていてほしい」と回答。一方で、これからの時期は熱中症を心配しているコメントもあった。

「また感染者が増えてきたとき、子どもに無理やりつけさせるのも、嫌がりそうだし、夏場は暑く熱中症の心配もある。自分でもどうしたらよいか、わかっていない部分がある。悩む。」(女性/29歳/東京都)

子どものマスク着用についての思い(提供:コールドクター)
子どものマスク着用についての思い(提供:コールドクター)

たしかに梅雨の今の時期から夏にかけては熱中症も心配だ。子どものマスク着用について、どうしたらよいか分からず悩んでいる人は、どのように判断をすればいいのか?

コールドクターが提供する夜間休日の往診アプリ「みてねコールドクター」所属の小児科専門医で、日本赤十字医療センターの小児科に勤務する、風間尚子さんに聞いた。

「外したいけれど自分だけ外すのが恥ずかしい」という声も

――「子どものマスクの着用状況に関する調査」を行った理由は?

「みてねコールドクター」のメインユーザーは、小さなお子さまがいらっしゃるご家族です。

親も子も救いたい、親子の不安に寄り添いたいという想いの一環で、お子さまの健康等に関する情報の発信を今年から始めました。

3月にマスク着用が個人の判断となり、大人のマスクの着用状況の変化に関するデータや個人の見解は、多々、出ていましたが、小さなお子さまのマスク着用に関するデータや情報は大人に比べ、少ない状況でした。

そのような中で親御さまにヒアリングしてみると「他の家庭ではどのようにしているのか気になる」「どのように考えているか他の親御さんに直接聞きづらい」といった声があり、実態を明らかにしてみようと、調査を実施しました。


――「表情が明るくなった」「笑顔が増えた」など、子どもがマスクを外す時間が増えて変わったことについては、どのように受け止めている?

今の感染症の流行は抜きにして、「お子さまの表情が明るくなった」「笑顔が増えた」という事象だけにフォーカスを当てると、うれしい結果かなと思っています。

今回、お子さま自身のマスクに対する思いについても聞いていますが、上位2つは「ムシムシするから嫌だ」「邪魔だから嫌だ」という結果が出ており、その状態から解放されて、笑顔が増えたのかもしれません。

または、お子様からしたら、何も変わっていないのかもしれませんが、親御さまがお子様のお顔全体を見れることで、笑顔を見られる回数が物理的に増えたのかもしれません。

どちらにせよ、お子さまの笑顔を見て、親御さまもにっこり、お子さまはさらにうれしい、といった笑顔の連鎖が生まれてくれると良いですね。

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――子ども自身のマスク着用に対する思いについては、どのようなことを感じている?

今回の調査では、約半数のお子さまがマスク着用について「ムシムシするから嫌だ」「邪魔だから嫌だ」と思っている結果が出ており(親が代わりに回答)、そのように感じていたお子さまは「マスクを外せる」と喜んでいるのではないでしょうか。

一方で、「習慣だからつけたい」「他人の目が気になるからつけたい」「素顔を見られるのが恥ずかしいからつけたい」といったお子さまが一定数いることも明らかになりました。

実際にお子さまの診察をしていると、「外したいけれど自分だけ外すのが恥ずかしい」「マスクをしている方が気持ち的に落ち着く」などといった声を聞くこともあります。

そういったお子さまには「外してもいいという選択肢もあるんだよ」と伝えながら、お子さまの気持ちに寄り添っていただきたいなと思っています。

「お子さまと改めて話してみましょう」

――親の66%が「必要に応じてつけていてほしい」と回答。こちらは、どのように受け止めている?

ヘルパンギーナやRSウイルス、溶連菌、アデノウイルスなど、お子さまの周りでこれまでにない勢いで様々な感染症が流行っており、気にされている方が多いということだと受け止めています。

保育園や幼稚園、小学校で同じクラスの子が感染した情報などを見聞きすると、「何かしら対策をしないと」という親御さまの心配の表れかなと思います。


――梅雨の今の時期から夏にかけては熱中症も心配。子どものマスク着用について悩んでいる人はどうすればいい?

熱中症は、晴天時の暑いときだけでなく、湿度の高い梅雨の合間や明けから注意が必要であり、特にお子さまは体温調節の機能が未発達であったり、身長が低く、地面からの照り返しも受けやすい状況です。

マスク着用では熱がこもりやすくなるため、屋外や運動する際には積極的にマスクを外しても良い時期でしょう。

もし、鼻水や咳、熱などの症状があり、体調がすぐれないとき、病院やクリニックにいるとき、感染症がクラス内で流行しているときなどは、屋内で涼しい環境が保たれるのであれば、周囲の方も、ご自身も守る意味でマスク着用をおすすめします。

どんな状況や施設であればマスクを外して良いのか、つけた方がいいのか、お子さまと改めて話してみましょう。

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今回の調査では、子どもがマスクを外す時間が増えたことで「表情が明るくなった」「笑顔が増えた」など、マスクを外すことによる“プラスの変化”が明らかになった。

一方で、親の66%は「必要に応じてマスクをつけていてほしい」と回答している。熱中症が心配な今の時期、マスクを外して良いのか、つけた方がいいのか悩んでいる方は、子どもと改めて話してみてほしい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。