2018年7月の西日本豪雨から5年。広島・坂町で災害後から空き家になっていた古民家を改修し、若夫婦が営む「酒場」がある。そこは住民たちの“希望の灯り”…。着々と復興が進む被災地・坂町の今を取材した。
被災地の空き家を改修した古民家バー
開店準備のため、客席に掃除機をかける元坂町職員の小田恭輔さん。そこへ、元気な声で登場したのが店主で妻のめぐみさんだ。
あめのちハレ 店主・小田めぐみさん:
こんにちは!よろしくお願いします。暑いですよね!

この店は“地域のよりどころ”にしたいと、2022年7月6日にオープンした古民家バー。その名も「あめのちハレ」である。

5年前の2018年7月、西日本豪雨で甚大な被害が出た坂町。

総頭川沿いの坂西地区など街一帯が茶色い水に覆われた。

復旧・復興が進む中、災害後から空き家となっていた古民家を、2022年に小田さん夫婦が改修した。

店名「あめのちハレ」に込めた思い
夫の恭輔さんは呉市出身、妻のめぐみさんは山口県出身で、坂町に移り住んで10年ほどになる。

あめのちハレ 店主・小田めぐみさん:
ご縁があって坂町にきて…。だからこそ、坂町のみんなが明るく楽しくハッピーになるように。店名の「あめのちハレ」は、晴れてみんな元気になろうよという意味。雨のあとは必ず晴れるよと

5年前の災害でスーパーがなくなるなど、それまで当たり前だった生活や景色は一変。その穴を少しずつ埋めたいと、小田さん夫婦は考えている。

あめのちハレ 店主・小田めぐみさん:
近くにスーパーがなくなったので、テイクアウトもできるようにしました。おかずに困る人を少しでも助けてあげたい

坂町の“パワースポット”を目指して
店のオープンから丸1年。西日本豪雨を思い起こすこの時期に地域の住民らが集い、店は被災地の“希望の灯り”となっている。

店を訪れた人:
5年前の風景を考えると、こういう場は新鮮。満席だし感慨深いですね

店を訪れた人:
もっとこんな店が増えたらいい

あめのちハレ・小田恭輔さん:
街全体としても復旧・復興している感じはするし、それに加えて、うちの店が復旧・復興に上乗せできたのかな。そうだったらいいなと

あめのちハレ 店主・小田めぐみさん:
地域密着型の店なので、坂町の人にもっと来てもらえたら…。パワースポットのような存在になりたいです

暗いイメージが先行しがちな被災地。しかし、ここにあふれていたのは笑顔だった。家族連れなど老若男女が集まり、笑顔で前へ進んでいる。地域の防災力の鍵となるのは“人々の力”。1人1人の意識と、お互いに声をかけあう地域のつながりが重要である。こうしたつながりが、今後の災害に対する備えとなることを祈るばかりだ。
(テレビ新広島)