東京・新宿にあるハンズ旗艦店内に、カインズがオープンする。

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29日にハンズ新宿店の8階にオープンした「カインズ ハンズ」には、「ピカピカを極める」「スッキリ整える」など、4つのテーマで分けたエリアがあり、カインズの人気商品を揃えたという。

2022年3月にハンズを買収したカインズだが、都心への出店は今回が初。

世界でも有数の乗降者数がいる新宿駅近くに店舗を構えることで、新たな顧客獲得につなげたい考え。

ハンズ会長・カインズ社長・高家正行氏:
カインズとハンズが同じ館の中に出店をするということで、昨年来目指してきているDIY文化の共創の第一歩が、いよいよここで明日からスタートできる。

また、ハンズ新宿店も29日にリニューアルオープンし、カインズとハンズのスタッフが、両者の製品を使用したワークショップを行うという。

「見える資産」と「見えない資産」が必要

「Live News α」では、一橋ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
新生ハンズを象徴するリニューアルした旗艦店、どうご覧になりますか。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
生まれ変わったハンズが多くの人に支持されるには、「見える資産」と「見えない資産」を生かす必要があります。

「見える資産」とは、日本有数の繁華街に旗艦店があること。そして、もう一つの「見えない資産」は、消費者がハンズに対してもつポジティブな反応です。これをマーケティングでは、ブランド・エクイティといいます。

今のハンズもそうですが、ブランドを再構築することで、再び成長が可能になる潜在的なブランド・エクイティをもっている企業は”眠れる美女”といいます。

堤 礼実 キャスター:
その”眠れる美女”が、目を覚ますには、どうしたらいいのでしょうか。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
いくつかのポイントがありますが、まずはブランドのヘリテージに立ち戻ること。そもそも、ハンズは昭和51年、大量生産・大量消費へのアンチテーゼとして生まれました。

壊れたら捨てて新しいモノを買うのではなく、自分の手で修理したり、一からつくるための道具や材料が、なんでも揃うお店として始まっています。

今でもハンズといえば、このイメージを持つ方が多いかと思います。こうした、ブランドの認知はとても大切です。

令和のいま、ハンズがやろうとしているのは、手で何ができるのか、その役割を再定義することです。手のなかにあるスマホから様々な情報が入ってきますし、オンラインで買い物することもできますが、手で何かに触れることで、どんなものが生まれるのか、頭の中でソウゾウが広がり、心がワクワクする。そんな「アナログな楽しさがあると、人との繋がりも深めることができます」と、私たちに提案しているのです。

旗艦店での新たな顧客体験がカギ

堤 礼実 キャスター:
そうしたハンズの提案が、多くの人に届くためのポイントは。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
その鍵となるのが「見える資産」であるフラッグシップストア、つまり旗艦店です。

今回、リニューアルした旗艦店が、手から生まれるソウゾウとワクワクの場所となり、新たな顧客体験を提供する必要があります。”眠れる美女”であるハンズがどのように目を覚ますのか、楽しみです。

堤 礼実 キャスター:
ほとんどのものがネット通販で手に入る今、実際に店舗で多くの品を見ることで感じられるワクワク感は貴重だなと感じます。

こういった品ぞろえ豊富なお店に行くと、目当てのもの以外にも引かれて、つい長居してしまうなんてこともありますが、そういった時間もまた素敵なものですよね。

(「Live News α」6月28日放送分より)

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