大阪市生野区で廃校になった小学校の校舎を活用した新しい施設がオープンした。その意外な活用法を取材した。
「廃校」が新名所に?意外な活用法とは
坂元龍斗アナウンサー:
大阪市生野区の「御幸森小学校」の跡地に来ています。JR鶴橋駅と桃谷駅からおよそ徒歩15分で、近くには生野区で有名な「コリアタウン」が徒歩1分ほどの距離にあります

「御幸森小学校」は少子化の影響で小学校の統廃合が進み、おととし廃校となった。
当時の面影もありつつ、今はおしゃれな外観になっていて、「いくのパーク」という地域の人々が集まる施設に生まれ変わって、5月3日にオープンした。
およそ100年の歴史に幕をおろした御幸森小学校。役目を終えた後も、人が集まる場所として校舎が活用されている。

保健室が喫茶店に!地域のつどいの場所へ
元々保健室だった場所にはレトロな喫茶店になった。小学校の床や机などがインテリアとマッチし、ゆったり過ごせる空間になっている。
喫茶店に来た客:
たまたま小学校の前の道通って、「あれ?小学校?でも小学校じゃないな」みたいな感じだったので、こんなところ活用するのってなかなかないし、いいのかなと

一方で、昔と全く変わらない場所も。
体育館ではバスケットボールクラブが開催されていて、練習のない日はレンタルスペースとしても活用されている。

地域の「避難所」指定のため廃校後も校舎が残ることに
いくのパーク運営事務局・大城こなみさん:
やっぱり小学校中学校のあった場所というのが、地域のコミュニティの場として機能していたということと、何よりも「防災拠点」として避難場所になっていたということがあったので、地域の文化を残しつつ活用していけたらなと思っています
御幸森小学校は、生野区の避難所に指定されていたため、廃校になった後も、校舎を残す必要があった。

そこで大阪市は校舎を有効活用してくれる事業者を募集。設備のメンテナンスを担いつつ、地域の人たちが集まれる場所として「いくのパーク」に生まれ変わった。

住民の5人に1人が外国籍 「生野区」特有の課題解決の場に
住民の5人に1人が外国籍という生野区。
韓国をはじめ、およそ60カ国の人たちが暮らしていて、学校で授業についていけない子どもが多いことが問題となっている。
そこで、地域の小学生から高校生を対象に、日本語の勉強や居場所作りをサポートする施設もオープン。現在は日本を含めた8カ国の子どもたちが利用している。

利用する児童:
楽しい、勉強もできるし遊べるのが嬉しいところやなって思います
地域の要望に応えて…BBQ場も完備!
プールだった場所にはバーベキュー場ができていた。25mプールの中やプールサイドにテーブルが並べられている。

韓国では自宅でバーベキューをする文化がある一方で、公園では火を使えないところも多く、バーベキュー場を作ってほしいという要望が多くあったそうだ。
バーベキュー場にはコースがあるので手ぶらで来ても楽しめるが、持ち込みもできる。
徒歩1分の場所にある「コリアタウン」で、キムチやチキンなどを買って持ち込むのがこの場所ならではの楽しみ方だ。

今後、いくのパークでは醸造所がオープンする予定で、ここで作られたクラフトビールは「唐辛子フレーバー」になっている。
このビールを購入することもでき、バーベキュー場にビールサーバーも設置される予定だということだ。
さらに夜にはライトアップされ、オシャレな空間でバーベキューを楽しむことができる。

少子化が進む中で「廃校」になる学校はどうしても出ることがありますが、「いくのパーク」の活用法は、ほかの地域でも参考になるかもしれない。
(2023年6月16日 関西テレビ「newsランナー」放送)