全国の都市部で急激な地価の上昇が続く要因の一つとして、近年取りざたされている外国人による日本の土地取得問題。

円安などを背景に、外国人や海外の法人が日本の土地や建物を買い求めていて、関西有数の高級住宅地がある芦屋市にもその動きが及んでいます。

中でも日本有数の高級住宅街「六麓荘」は、資産価値が高く、高額な相続税を理由に手放す人が多く、中国の人が投資目的などでも購入することがあるそうです。

さらに市内で最も南側にあり海に隣接する「涼風町」は、高潮のリスクなどでやや人気が下がっていたそうですが、「風水的に良い」という立地条件で中国の人に好まれているということです。

一方、海外からの移住者が増えると問題になるのが、生活マナー。ゴミの出し方などを巡ってトラブルが起きていて、芦屋市も頭を悩ませています。

■日本でも屈指の高級住宅地・六麓荘 巨額の相続税など背景に土地を手放す人も

日本でも屈指の高級住宅地・芦屋の六麓荘の現状を教えてくれたのは芦屋で代々、不動産業を営んで50年以上になるという山本社長です。

【不動産業者・山本商会 山本佳秀社長】「ここで土地を買って上物を建てると、総額が10億、20億いく方も多いので。よっぽどの富裕層の人じゃないと買えない」

六麓荘は資産価値が高く、もし相続するとなれば十数億円という巨額の相続税がかかることもあるため、受け継ぐはずの日本人が泣く泣く手放すことも多いといい、このような物件に中国人が目を付け、購入しているということです。

中古・新築を問わず、投機目的の売買もあるといい、ある物件は中国人が7億5000万円ほどで購入し、その後12億円ほどで転売。

また別の中国人が所有者とみられる物件は、16億円で以前売りに出されていたということです。

■六麓荘だけでなく…最近中国人に人気の地域が

中国のSNSには物件を紹介する動画がいくつも見られます。

ある動画では「六麓荘は住宅街ですが自然公園にも負けない景色が見られます」と紹介し、登場した人物が「都心は嫌だ、広い家がいいというお客様は(芦屋を)検討されますよ」と説明しています。

そして六麓荘だけではなく、今、価格が急上昇している地域が芦屋市で最も海側にある涼風町。20年ほど前から住宅が建ち始めた新しい街です。

(Q.表札とか見てても半分くらい中国の方?)
【山本商会 山本佳秀社長】「結構中国の方に売れているという話は聞いた。仲のいい人に『(涼風町が)良いから』と呼び寄せて、知り合いがいたら安心するのでちょっとしたコミュニティができるみたいな」

■人気の理由は「風水的に絶好の土地」

山本さんによるとこの地域は当初、日本人にも人気でしたが、近年、高潮などのリスクから土地価格が下がる傾向にあったといいます。

ではなぜ、この海側の地域が中国人に人気なのか。その理由の1つが「風水的に絶好の土地」という見方があること。

【山本商会 山本佳秀社長】「中国の人は割と、『海が見えるのがすごくいい』と。この辺は風水的にもいいっていうのは聞いたことがある。海があって、山が見えて、と」

こうした人気を受けて中古のみならず、新築の物件も増加し、海外でも知られる日本の大手住宅メーカーが建てていて、その信頼感なども人気の理由だということです。

【山本商会 山本佳秀社長】「為替の関係で日本がすごく安い。ごはんもおいしいし、街もきれいだし、治安いいし、全部そろっているんですよ。そりゃ、売れるよね、と」

■香港から移住した人の理由「特に人がとても良い」

そして、取材を進めるとこの涼風町の物件を購入した中国人に話を聞くことができました。

【中国から移住】「このあたりは住みやすいし、静かで人も友好的です」

(Q.この家はいくら?)
【香港から移住】「約1.5億円。(中国なら)10億。(日本は)安い、安いです」

こちらの男性はなんと家の中を見せてくれました!部屋からの眺めはオーシャンビュー。ヨットハーバーにずらりとヨットが並ぶ様子を一望することができます。

室内も豪華で、寝室はなんと3部屋もあるそうです。なぜこの男性は日本にやってきたのでしょうか。

【香港から移住】「I like Japan.環境、教育、食事、景色…特に人がとても良い」

■ゴミの捨て方などマナーの問題が発生

中国人からの人気が急上昇している涼風町。しかし、ゴミの捨て方など、マナーの問題が起きています。

ゴミの集積所には、中国語で『ポイ捨ては恥』などと書かれた張り紙がありますが、『収集できません』と書かれた紙が貼られたゴミが置いていかれています。

住民によると、中国人によるポイ捨てや、ルールを守らないゴミ出しなどがあり、ゴミが回収されないことも珍しくないそうです。

【涼風町の住人】「最近中国の方が増えてきたっていうのはよく聞きますね。日本人じゃないから、ルールがちょっと違ったりして問題になっているというのは聞いたことがあります」

【涼風町の住人】「道を歩いていたら、ゴミのポイ捨てが多い街のキレイさを気に入って引越ししてきたのに、だんだん汚れていっている感じがする」

■移住してきた人からもマナーに苦言 芦屋市も頭を悩ませる

実際、取材をさせてもらった中国から移住してきた人も、マナー違反に苦言を呈します。

【中国から移住】「日本に来て生活する外国人として、私はなるべく日本の規則を守るようにしています。しかし、ほかのひとの習慣を変えることはできません」

こうした状況について芦屋市は…

【芦屋市国際文化推進室 田嶋修室長】「一番よく言われているゴミの問題とかであれば、『日本語だけではなくて、多言語でチラシを作ってくれないか』という相談がありますので、それには対応させていただいています。

みなさんが多様性を享受するような街づくりをしていかないといけないと考えています」

■専門家「日本の国土をどう組み立てるか、日本の法制自体が無頓着だったのでは」

外国人による不動産取引は今の日本では「原則自由」となっています。

一方で、物件の価格高騰の一因となっていることなどについて、外国人の土地取得について研究する北星学園大学の足立清人教授は「日本の国土をどう組み立てていくか、日本の法制自体が無頓着だったのではないか」と指摘します。

【北星学園大学 足立清人教授】「日本の社会、これから外国人の方もどんどん入ってきてもらって、やっていかないとなかなか立ちいかなくなると思います。国土をどうするか、みんなで考えていかないといけないんじゃないか」

日本政府はこうした問題について実態把握を進め今後、ルール改正も視野に議論を重ねています。

急増する外国人による日本の土地取得。言葉が通じなくてもルールを共有できる制度作りが求められます。

(関西テレビ「newsランナー」2026年5月11日放送)

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