愛知県津島市の「邦純(ほうじゅん)」は、餃子の持ち帰り専門店です。シンプル餃子だけでなく、地元の特産品や食材を取り入れた新感覚の餃子も好評で、中でも老舗の醸造所とコラボした「みそ餃子」が大ヒットしています。一度食べたらクセになる、みそ餃子の秘密を取材しました。

わずか2カ月で4000個販売の大ヒット

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愛知・津島市にある持ち帰り餃子の専門店「邦純」。

この店が2023年1月に販売を始めた餃子が、大人気になっています。

男性客A:
いままでのとは全然違う!香りがいいんじゃないかな

男性客B:
奥深い味わいを感じる。新しい発見をしたなと思います

お客さんも絶賛するのは、あんにみそを練り込んだ「みそ餃子」。考案したのは、社長の遠山卓郎(とおやま・たくろう)さんです。

邦純の遠山卓郎社長:
やっぱり普通の餃子に比べて、若干色が濃い状態だと思います

意外な組み合わせがうけ、わずか2カ月で4,000個以上が売れたといいます。

遠山卓郎社長:
常に新商品を作っていきたいなと思っている中で、みそが合うんじゃないかなとひらめきまして、これを考案しました

遠山社長は、津島で創業140年を誇る「遠山産業」の6代目です。江戸時代に米問屋としてスタートし、後に繊維業にも参入。現在では自動車学校やゴルフ練習場なども運営している、多角経営の企業です。

餃子を手掛けたきっかけを聞きました。

遠山卓郎社長:
僕自身が餃子が大好きだってことと、もともとうちの会社の本業が米の問屋で、食料品の事業にも縁がありますので、そういったところから興味が出てやり始めました。当時珍しかった、お持ち帰りしてもらって家で食べてもらうというスタイルが面白いかなと思って。この餃子店をやる前に、修行しに行きましたね

常連だった餃子店に頼み込んで作り方を修行したあと、2015年に持ち帰り餃子の専門店として「邦純」をオープンさせました。

定番餃子はあっさり味

邦純のこちらの餃子はすべて店内で製造していて、あんも店で混ぜ合わせています。

あんを担当するのが、遠山社長と一緒に餃子店で修業した店長の小園みゆきさんです。

みそ餃子の前に、まずはスタンダードな餃子の作り方を見せてもらいました。豚肉、野菜は国産のものを使用しています。

豚肉をしっかりこねたあと、キャベツをいれます。豚肉がみえないほど大量に入れるのが特徴です。

肉の量の倍ほどのキャベツをいれているため、味もあっさり。ニンニクも控えめだといいます。キャベツの水分を豚肉に浸透させ、ジューシーなあんにするため、5分以上ひたすら混ぜます。

小園みゆき店長:
お肉とキャベツが仲良くなるように、すりあわせるって感じですかね。きちんと混ぜないと、バラバラになってしまうので

しっかりと混ぜたあんを、餃子の皮に包んで完成です。

店内で焼く「焼き餃子」を買うこともできますが、生餃子と冷凍餃子のテイクアウトが人気です。

自宅でおいしく焼くコツは…。

小園みゆき店長:
焼き色がつきにくいので、少し焼いてからお湯を入れていただくと、きれいな焼き色がつきやすいですね

確かに、見事な焼き色が付きました。

店の名前をつけた「邦純餃子」は焼き10個640円、生16個680円、冷凍16個680円です。パリっと焼きあがった皮で包む、キャベツ多めのあっさり味のあんで、何個でも食べられそうです。

地元で評判になり、80個買っていく常連客もいました。

女性客A:
家族が多いから。おいしいです、あっさり系ですね

男性客C:
手作りでおいしいし…家で焼いたほうがおいしい

女性客B:
生を焼くと、すごくおいしいです。あっさりしていて雑味がない

地元の特産「七宝みそ」とコラボ

他にも特に男性に好評な、ニラとニンニクを多めに入れガツンとした味がクセになる「武士餃子」(焼き10個680円 生15個700円 冷凍15個700円)や…。

レンコンが入った餃子「シャキシャキれんこん餃子」(焼き6個500円 冷凍15個800円)も人気です。

遠山卓郎社長:
津島市の隣の愛西市がレンコンの一大産地でして、そのレンコンを使った餃子がおいしいんじゃないかと思って開発しました。地元のものを使えば、おいしいものができると信じています

遠山社長は、地元の特産とコラボすることにこだわりがあります。レンコンのように、餃子に合うのではと思いついたのが、津島市の隣り、あま市の特産品「みそ」でした。

遠山卓郎社長:
あま市の七宝みそというのを使った、みそ餃子を作りました

100年以上の歴史を持つ佐藤醸造の看板商品「七宝みそ」とのコラボです。

明治7年(1874年)に創業し、尾張地方で唯一、みそ・醤油ともに製造している佐藤醸造。

2021年には、ベーカリー「海部のくちどけ」をオープンしました。

クッキー生地に赤みそを練りこんだ進化系メロンパンをヒットさせるなど、味噌の特性を生かしたコラボ商品を次々と開発しているアイデアメーカーです。

今回、邦純とのコラボを決めた理由を佐藤亮治社長に聞きました。

佐藤醸造の佐藤亮治社長:
うちが邦純さんの餃子を食べていたりとかですね、遠山さんのほうがうちのお味噌だったりとか、お互いに愛用しているというのがスタートとしてあったんですけども、地元の企業さんからそういったお話をいただくというのは、やっぱり地元を盛り上げていく上でも、非常に大事なのかなと思っていますので、大変うれしいお話だなと思ってすぐに動きました

佐藤社長は、数あるみその中から1番人気のだし入りのみそを餃子用に提供し、試作しましたが…。

佐藤亮治社長:
かつおだしとかがブレンドされていますので、だしが入っていると、元々のあんの味を変えてしまうことがあったもんですから

だしが餃子の味を邪魔してしまうことが分かり、大豆と塩だけで作ったシンプルな昔ながらのみそに変更したといいます。

佐藤亮治社長:
こちらの方が、素材の味を生かすといいますか、お味噌も味的に乗ってくるのかなというところで、そこに落ち着きました

何度も試作を重ね採用されたのは、国産大豆100%で2年間天然醸造した、最高級品の豆味噌です。

この豆みそを邦純では、皮ではなくあんに混ぜ込みます。

遠山卓郎社長:
あんに混ぜ合わせることで、風味が増します。キャベツを入れた状態で混ぜてしまうと、キャベツの水分が出てしまいますので、肉の状態でみそとしっかり混ぜ合わせるのが重要です

店長と遠山社長の2人で行ったみそ餃子の開発では、苦労したこともありました。

遠山卓郎社長:
(みそが)多すぎるとくどくなってしまうので、今は1キロのあんにだいたい30グラムの味噌を入れる感じです。どのぐらいの味噌の分量が適切なのかというのは、何度も試食を重ねて(量を)決めるのは苦労しました

小園みゆき店長:
いっぱい食べました!

3カ月かけて完成した「七宝みそ餃子」は焼き6個500円、生20個1000円、 冷凍15個750円です。

みその香りが実に食欲をそそり、タレにつけずにそのまま食べるのがおすすめだといいます。

女性客C:
おいしい!そんなにお味噌強くないですよね。ニンニクも効いていてビール飲みたいです

女性客D:
タレなしでも普通においしく食べられますね、味がちゃんとしっかりしているので

地元の特産を生かした、新たなヒット商品です。

遠山卓郎社長:
今回、佐藤醸造さんと組ませていただいて、大変好評いただいていますので、まだまだ地域にコラボレーションさせていただける先がいくつかあると思いますので、チャンスをいただければまた組ませていただいて、地域の名産みたいな形の餃子になっていければなと思っています

2023年3月1日放送

(東海テレビ)

東海テレビ
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