夏、尾瀬を彩るのがニッコウキスゲ。7月中旬には見ごろを迎え、湿原は黄色と緑に輝く。この美しい景観を脅かすのが…シカ。2023年も対策が取られている。

花の湿原を守れ!
大江湿原は標高が高く、尾瀬の中でも「花の湿原」と知られる。この場所は、春はミズバショウ、夏はニッコウキスゲ、秋は紅葉と訪れる人を魅了する。

毎年6月になると尾瀬では、雪解けを待って行われる作業がある。会津森林管理署・南会津支署では、9年前から湿原の周囲約3.5キロに柵を設置している。

その理由を、会津森林管理署南会津支署・櫻井勝首席森林官は「全国的にシカの食害が広がっていまして、農作物や食物、木の苗木等も食べられたりして深刻な被害になっている」と話す。

ニホンジカによる食害
90年代半ば、尾瀬国立公園ではじめて生息が確認された二ホンジカ。
エサを求め栃木・日光方面から北上してきたとみられ、好物のニッコウキスゲは、一時期ほとんどの花芽を食い荒らされ深刻な被害を受けた。

柵の設置は、シカからニッコウキスゲを守るための“砦”でもある。会津森林管理署南会津支署・櫻井勝首席森林官は「尾瀬でしか見られない貴重な高山植物もたくさんあって、来る時期によっても景色が変わったりすることが魅力。柵を設置することで、大江湿原の自然が守れればと思う」と語る。

柵の設置によって、少しづつ食害から回復しつつある大江湿原のニッコウキスゲ。
今シーズンも鮮やかな黄色の花が登山客を出迎える。

(福島テレビ)