ブロック塀が倒壊するなどして28人が犠牲になった、1978年に発生した宮城県沖地震。2023年で45年が経った。この地震をきっかけに当時の建築基準法は改正され、ブロック塀の危険性は、広く認識されるようになった。一方で、宮城県内では大地震で倒壊の恐れがある「危険なブロック塀」が、いまだ多く残っている現状がある。

宮城県沖地震とは? 

1978年6月12日、地震発生時刻は夕方だった。午後5時14分。宮城県沖が震源で、マグニチュードは7.4。仙台と石巻で震度5(当時の基準。現・震度5強と5弱に相当)を観測した。宮城県で27人、福島県で1人の合わせて28人が死亡したが、そのうち半数以上はブロック塀や門柱の倒壊で下敷きになって亡くなった。

この地震をきっかけに当時の政府は建築基準法を改正。建物やブロック塀の耐震基準を強化するきっかけとなった。宮城県沖地震を教訓に、ブロック塀の危険性は認識されるようになった。

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いまだ残る「危険な」ブロック塀

仙台市は、2019年度から2021年度にかけて市内の小学校119校の学区内にある「通学路」や「公道」、4万3600カ所の本格的な調査を行った。

調査の結果、大地震で倒壊の恐れがあり、撤去や改修が必要であるものの、そのままの状態になっている、いわゆる「危険なブロック塀」が、2022年6月には、389カ所。その後、改善がみられたものはあったものの、2023年1月時点でも、257カ所残っているという。

区別でみると、青葉区で35カ所、宮城野区で45カ所、若林区が一番少なく15カ所、太白区で78カ所、最も多いのは泉区で、84カ所となっている。
調査の対象となるのは、高さ1メートル、長さが0.8メートルを超えるブロック塀などで、鉄筋の有無などブロック塀の状態をみて「危険かどうか」判断する。
実際に「危険」と判定されたブロック塀がある場所に行ってみると、長さは10メートルほどで、高さは身長160センチほどの記者よりも高い部分もあった。

危険と判定されたブロック塀 身長160センチの記者よりも高い部分が…
危険と判定されたブロック塀 身長160センチの記者よりも高い部分が…

このほかにも、亀裂や傾き…さらには一部が崩れ、注意を促す表示が張られている箇所もあった。登下校中の子どもたちがそばを歩いているときに倒壊したら…

進まぬ「民間ブロック塀」の改修・撤去

仙台市は「職員による所有者への訪問を行い、除却が進んでいる状況」と説明する。一方、改修・撤去が進んでいるのは公共施設などが中心で、民間のブロック塀についての対応は、所有者の判断に任される。自治体が実施することができない。市は所有者の負担を軽減するため、撤去費用の一部を補助する制度を設けていて、今後、所有者側に改めて周知を図っていきたいとしている。

地震など、災害はいつどこで起こるかは、誰にもわからない。一方で、一般に宮城県沖地震と呼ばれるマグニチュード7.1~7.4の地震が、30年以内に発生する確率は最大で80%ほどとされている。行政に頼るだけでなく、日頃からの安全点検や維持管理も含め、地域で防災意識を高めていくことが求められている。

(仙台放送)

仙台放送
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