病気を患いつつ、ごはんを楽しむワンコの姿がTwitterで感動を呼んでいる。カニンヘンダックスフント・おとくん(3歳)は元気いっぱいな男の子。ただ、他の犬とは少し違うところがある。

カニンヘンダックスフント・おとくん
カニンヘンダックスフント・おとくん
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飼い主(@RonOto9134)さんが撮影した、自宅でのごはんの様子がこちらだ。

自分でテーブルを押して…
自分でテーブルを押して…

おとくんが尻尾を振って向かったのは、小さな縦型の椅子。後足で立ち上がり、設置されたテーブルを押して開くと、そこに自ら入って収まったのだ。

立った状態ですっぽりと収まったのだ
立った状態ですっぽりと収まったのだ

その後は飼い主さんがテーブルを固定し、準備完了。おとくんはテーブルにちょこんと前足を乗せ、立った状態でおいしそうにごはんを味わったという。

変わった食べ方と思うかもしれないが、これには理由がある。実はおとくん、巨大食道症という先天性の病気を抱えているのだ。

おとくんが抱える「巨大食道症」とは

TYLが運営する「アニホック動物病院グループ」によると、巨大食道症(食道拡張症)とは、食道が拡張することでその動きが低下し、食べ物をうまく胃に運ぶ事ができなくなる病気。十分な栄養を摂取できず体重減少がみられたり、吐いたものが逆流して肺に入り、誤嚥性肺炎を起こすこともあるという。

ベイリーチェアでの食事の様子
ベイリーチェアでの食事の様子

命の危険にも関わるため、おとくんは動物病院の指導で、立位(直立した姿勢)で食事しているのだ。縦型の椅子は、巨大食道症の動物のために開発された「ベイリーチェア」というもの。後ろと両脇が壁となっていて、立位の負担を軽減できるという。

別アングルだとこんな感じ
別アングルだとこんな感じ

飼い主さんが「自ら入るのです」などと、おとくんの姿を投稿すると、賢さや健気さに「ほんと生きているって凄いことなんだなって思いますね」といった声が寄せられた。巨大食道症を初めて知ったという人もいて、投稿は4万3000以上のいいねを集めた(6月8日時点)。

体重が増えないことに異変を感じた

病気に立ち向かう、おとくんとの日々はどのようなものなのだろうか。飼い主さんに聞いた。


――おとくんの巨大食道症にはいつごろ気づいた?

生後2カ月ごろから飼い始めましたが、その時からよく吐いていました。理由がわからず、動物病院に検診に行っていたのですが、体重が増えないことに異変を感じ、検査して判明しました。

お家に迎えたばかりの頃のおとくん
お家に迎えたばかりの頃のおとくん

――自分から、ベイリーチェアに入るようになったのはいつごろ?

ベイリーチェアを使い始めてから、2カ月ほど経ったころです。1歳ごろだったと思います。用意すると自ら入るようになりました!好きなごはんが食べられるのを覚えたのかな?と思います。重力でごはんが胃に流れるため、食べやすいのだと思います。

食事後に抱っこされると、寝てしまうことも
食事後に抱っこされると、寝てしまうことも

――普段の生活において、負担軽減のためにしていることはある?

ベイリーチェアはクッションを付けているほか、出たがった時は、抱っこ紐で抱っこをします。吊るされた状態だと負担があると思うので、飼い主が座り、膝におとくんのお尻をつけることが多いです。(おとくんは)夜だと眠ってしまうことが多いですね。気持ちよさそうでいつも癒されています笑

今は食べることが大好きに

――おとくんはどんなワンちゃん?

性格は怖がりで甘えん坊です。いつも飼い主のそばにいて見つめてきます笑。ボール投げで遊ぶのが大好きで、毎日一緒に遊んでいます。食べることも大好きで、体重は約3.2キロです。病気が発覚した時は痩せていましたが、縦抱きやベイリーチェアのおかげで栄養が摂れて標準体重になりました。


――食事のメニューは工夫していたりする?

食事は固形物がダメなので、カリカリのフードと缶詰の両方をフードプロセッサーでトロトロにして、水で少し薄めたものを食べさせています。水をなかなか飲んでくれないため、おやつとして、ヤギミルクの氷はあげています。

元気に散歩もする
元気に散歩もする

――食事以外の生活はどうなっているの?

普段の生活は問題ありません。ただ、たくさん吠えると胃に落ち切らないごはんが逆流します。吠えさせないように気を付けて、吠えた時は逆流しないよう、すぐに縦抱きしています。

楽に生活ができるよう最善を尽くしたい

――投稿を通じて、巨大食道症を初めて知ったという声もあった。

巨大食道症という病気は、私自身も(おとくんを通じて)初めて知りました。投稿の動画を見て、少しでも参考になればうれしいです。


――おとくんとどう過ごしていきたい?

生まれた時から普通にごはんを食べられなくて大変ですが、苦しい思いをせず、楽に生活ができるように最善を尽くしたいと思います。ずっと元気に長生きしてほしいのが、一番の願いです。

アニホック動物病院グループによると、巨大食道症でも、誤嚥性肺炎を起こさないように充分なケアをすることで長生きできるという。立位での食事は、おとくんが病気に立ち向かう姿だった。

(画像提供:おとくんの飼い主さん)

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。