においが独特で、食用に向かないうえ、海藻が生い茂る藻場を食い荒らす魚「アイゴ」。そんな、漁師たちを悩ませている“海の厄介者”に商品価値を見出した老舗の水産会社の取り組みを取材した。

食用に向かない魚「アイゴ」

威勢の良い声が飛び交う大分県佐伯市の鶴見市場。この時期は連日、約80種類の魚が水揚げされているが、中には食用には向かないものも…。

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その1つがこちらの「アイゴ」。背びれなどに毒がある上、においが独特で長い間、敬遠されていた。また、海藻が生い茂る藻場を食い荒らし「磯焼け」を引き起こすため、漁師たちも頭を悩ませていた。

漁師 坂本大地さん:
その場で処理をするか、それか冷凍して餌にしていたが、餌にもあまり向いていない感じでどうしようもないような感じだった。

「アイゴ」に商品価値を

そんなアイゴに商品価値を見出したのが佐伯市の水産加工会社、「やまろ渡辺」。

2022年、開発したのがこちらの「アイゴの一夜干し」。塩で旨味を引き出した無添加の干物で、サバやスズキに似た味わいだ。

やまろ渡辺 渡辺正太郎会長:
このにおいがある敬遠されていた魚をいかに食べてもらえるようにするかが、我々水産加工の技術なので、それを持っておいしい干物に仕上げた。

老舗水産加工会社の取り組み

やまろ渡辺は2023年で創業115年、ここ数年はSDGsに積極的に取り組んでいる。アイゴの活用は、目標のうち「海の豊かさを守ろう」や「つくる責任つかう責任」などを意識したという。

やまろ渡辺 渡辺正太郎会長:
持続可能な海を存続させるため、私たちから言うと次世代につなぐためには生産者を一番大切にしないといけない。生産者のホームグラウンドである藻場が蘇生することで魚も増えて生産高も上がってくるという希望を持っている。

また、5月からアイゴを使ったジャーキーも新商品として販売している。

海の厄介者を商品化し豊かな自然を守る。一石二鳥の新たな取り組みに老舗の水産会社が挑んでいる。

(テレビ大分)

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