年齢とともに抜け毛が気になってきた人もいるだろう。そんなあなたの朗報になるかもしれない成分が見つかった。

日清食品ホールディングス株式会社は5月22日、トウモロコシ由来の「乳酸菌N793株」に、毛髪密度を高め抜け毛を減らす効果があることを発見したと発表した。

(画像はイメージ)
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この研究に取り組んでいたのは、日清食品グループの健康科学に関する専門部署であるグローバルイノベーション研究センター。

薄毛に悩む日本人の男女を対象に、「ラクチプランチバチルス プランタラムN793 (乳酸菌N793株)」を含むローションを、2021年4月から22年10月にかけて継続的に頭皮へ塗布する臨床試験を実施。すると毛髪密度が上昇し、抜け毛を減らす効果があることが明らかになったという。

研究に参加した男女12人は、「乳酸菌N793株を含むローション3ml」を24週間に渡って、毎日1回ずつ頭皮に塗った。その結果、ローションを使う前は1平方cmあたり179.2本だった毛髪密度が193.3本に上昇し、洗髪時の抜け毛は152.3本から塗布後は84.5本に減少したというのだ。

(出典:日清食品ホールディングス)
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さらに参加者のアンケート調査でも、髪の毛のハリ・コシ・ボリュームの改善が認められたとのことだ。

(出典:日清食品ホールディングス)
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また、男女混合52人ずつの2グループが「乳酸菌N793株を含むローション」と「含まないローション(プラセボ)」を使った臨床試験も実施した。

その結果、当初は有意差が認められなかったが、毛乳頭細胞が少ないと思われる被験者を除いて追加解析したころ、塗布24週後の毛髪密度は「含む」を使った被験者のほうが統計学的に有意に上昇したという。

(出典:日清食品ホールディングス)
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ちなみに、「乳酸菌N793株」が属する「ラクチプランチバチルス プランタラム」は、主に植物から分離される菌の一種で、漬物やサプリメントなどの食品にも多く使用されているそうだ。同社グループは「乳酸菌N793株」のさまざまな効果やメカニズムについて、これからも研究を続けていくとしている。

(出典:日清食品ホールディングス)
(出典:日清食品ホールディングス)

「⽑髪密度を⾼める」は「⽑が⽣える」と同じ意味

ここまで読んで、一刻も早く「乳酸菌N793株」を手に入れたいと思った人もいるかもしれない。トウモロコシ由来ということは、やはりトウモロコシに含まれているのか?発表では、はっきりと書いていないが「毛髪密度が上昇する」とは、ズバリ「毛が生える」ということなのか?
日清食品ホールディングス株式会社の担当者に聞いてみた。


――そもそもなぜ⽇清⾷品が抜け⽑の研究をしている?

⽇清⾷品グループのグローバルイノベーションセンターでは健康科学に関する専⾨研究部⾨を設け、乳酸菌の様々な健康効果を研究しています。性別年代を問わずに髪や頭⽪にストレスを抱える⽅が多いことから、⽇清⾷品では⽑髪や頭⽪に関する研究を2019年から開始しました。


――なぜ「乳酸菌N793株」を頭皮に塗る実験を行った?

⽇清⾷品グループが保有する独⾃の微⽣物ライブラリーから、育⽑効果が期待できる乳酸菌を細胞試験によって選抜しました。

細胞試験では、⽑髪の成⻑に必要な⽑乳頭細胞を活性化させること、さらに、⽑髪の元となる⽑⺟細胞の分裂を促すケラチノサイト増殖因⼦の産⽣を促進させることを確認しました。試験の結果、「乳酸菌N793株」には⽑⺟細胞を活性化させ、ケラチノサイト増殖因⼦の産⽣を促進させる効果があることが確認できました。

そこで、「乳酸菌N793株」の頭⽪への塗布による臨床試験を実施し、その有効性を明らかにし
ました。


――「毛髪密度が上昇する」とはズバリ「毛が生える」ということなの?

ニュースリリースでは、「乳酸菌N793株」の臨床試験の結果について、頭⽪の⼀定の⾯積に対して⽑髪の本数が増えたことを「⽑髪密度を⾼める」と記載していますが、これは「⽑が⽣える」と同じ意味です。

「乳酸菌N793株」は、⽑髪の成⻑に必要な⽑乳頭細胞を活性化させるとともに、⽑髪のもととなる⽑⺟細胞の分裂を促すケラチノサイト増殖因⼦の産⽣を促進させ、髪が⽣えて抜け落ちて再び⽣えてくる周期(ヘアサイクル)を健全化する効果を細胞試験で確認しています。

経⼝摂取でも⼀部の効果を確認

――この効果は「乳酸菌N793株」を⾷べてもいいもの?

経⼝摂取した場合にも、⼀部の効果があることを確認していますので、今後、さらなる研究を進めていきます。


――乳酸菌N793株はトウモロコシに含まれているの?どんな漬物やサプリメントを取ればいい?

「乳酸菌N793株」は、トウモロコシから単離しましたが、全てのトウモロコシにN793株が⽣育しているわけではありません。⽇本のある地域のトウモロコシに⽣育していた菌株であり、トウモロコシはあくまで分離源です。(※単離とは、さまざまな個体、細菌、物質などが混ざり合った中から,個体、特定菌、特定物質などを分離すること)

ニュースリリースにある「漬物やサプリメント」の記載は、「乳酸菌N793株」が属する「ラクチプランチバチルス プランタラム」という菌が含まれている⾷品の⼀例を挙げたものであり、「漬物やサプリメント」の中に「乳酸菌N793株」が含まれていることを意味するものではありません。


――製品化の予定や今後の研究はどうなる?

今後も、「乳酸菌N793株」が持つさまざまな効果やそのメカニズムについて研究を続け、⼈々
の健康ニーズにお応えするヘルスケア関連商品への応⽤を進めていきます。

(画像はイメージ)
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なお製品化について明確な答えはなかったが、今後の研究に期待したい。スーパーやコンビニに並ぶ様々な効果を謳う乳酸菌入りのヨーグルトの中に、いつの日か乳酸菌N793株入りの商品も現れるのだろうか。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。