天皇皇后両陛下が主催する園遊会が5月11日に開催された。2018年11月以来4年半ぶり、令和になって初めての園遊会はあいにくの悪天候だったが、雨が降るなか、両陛下は招待客ひとりひとりに丁寧に声をかけられた。

当日取材したフジテレビ皇室担当の橋本寿史解説委員に、今回の園遊会について詳しく聞いた。

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令和初の園遊会は“コロナ対策”で規模縮小

――今回4年半ぶり、即位後初めての園遊会だったわけですよね。

両陛下が初めて主催された園遊会でした。

園遊会は、春と秋の年2回、赤坂御苑で行われます。赤坂御用地という、秋篠宮家や上皇さまのお住まいのある、都心の真ん中の広大な土地の一角に赤坂御苑はあります。明治時代の「観菊会」「観桜会」をルーツに持つといわれていて、戦後に「園遊会」という名前に変わり、1965年からは今の形になったといわれています。

今回はソフトドリンクのみの提供
今回はソフトドリンクのみの提供

今回は新型コロナ対策が取られており、招待客は1300人程度、実際に来られたのは1000人ほどでしたが、飲食やアルコール類は出されずソフトドリンクのみの提供で、マスクの着用をお願するという形になりました。

“園遊会名物”のジンギスカン(2018年11月・秋の園遊会より)
“園遊会名物”のジンギスカン(2018年11月・秋の園遊会より)

園遊会で名物のものといいますと、やはりジンギスカン。御料牧場で育てられた羊の肉を、「大膳課」という調理を担当する部署が作る特製のタレでいただくんですね。聞くところによると、野菜も刻んで混ぜてあって、とても羊肉に合うソースなんだそうです。

“園遊会名物”の焼き鳥(2018年11月・秋の園遊会より)
“園遊会名物”の焼き鳥(2018年11月・秋の園遊会より)

そしてもう一つ有名なのが焼き鳥。これも御料牧場で育てられた鶏の肉が使われます。ジンギスカンも焼き鳥も目の前で焼いてくれるんですが、調理をするテントから煙がもうもうと立って、取材していてもいい匂いが漂ってきます。

――やっぱり園遊会といえば、皆さま素敵な衣装で登場されます。招待客、皇族方のドレスコードは?

招待客は、男性の場合にはモーニングか紋付羽織袴。警察や自衛隊だと制服ということもあります。女性はデイドレス、白襟紋付、訪問着などとされています。ドレスコードは招待状に書かれています。

一方、皇族の方は、女性は着物かドレスか。これは皇后さまが皇族の皆さまに連絡して統一されています。今回は着物でした。

――今回も招待客には、ノーベル賞受賞された吉野彰さんや、東京五輪・パラリンピックの金メダリストなど色々な方がいらっしゃいました。

今回招待された方は、園遊会が4年半行われていなかったということで、実は、例年だと招待するような方たちを招くことができなかったんです。対象者がものすごくたくさんいる中で、人数を絞らなければいけませんでした。スポーツ界からは、五輪・パラリンピックのメダリストが招待されるんですけど、今回は金メダリストの方しか呼べなかったようです。

2019年にノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんと言葉を交わされる両陛下
2019年にノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんと言葉を交わされる両陛下

――園遊会といえば、両陛下が出席者と言葉を交わされる姿も印象的です。

宮内記者会がマイクを付けてもらえるよう招待客の中の5人にお願いしています。5人はそれぞれピンマイクをつけ、実はそれで両陛下のお声も収録させていただいています。5人の方と言葉を交わされた後も、両陛下も皇族方も色々な方と丁寧にお話をされています。

事前にピンマイクを準備
事前にピンマイクを準備

――招待客の方は名札をつけていますが、皇族の皆さまは事前に招待客の功績などについて調べたりされているのですか?

どういう方が来られるのか、皆さま本当に勉強されています。なかには顔見知りで、「お久しぶりです」という方もいらっしゃったりしますが、本当に色々な方のことを勉強された上で臨まれています。

雨のなか、招待客に丁寧に声をかけられた両陛下

――招待客との歓談にはどれくらいの時間がとられていますか?

天候のこともあり、今回はちょっと長かったです。

最初、三笠山というところにお出ましの時には雨がほぼ止んだんですが、三権の長らから挨拶を受けた後に山を降りられて、そのあたりまでは良かったんですが、途中からまた雨が降り始めて、それで傘をさしながらお話していました。一瞬、小降りになったので傘を閉じたんですけれども、また雨が降り始め、雷が鳴る場面もありました。

園遊会が終わった後、陛下はすぐに「みなさまお疲れさまでした」と、準備を重ねた関係者にねぎらいの言葉をかけられたそうです。あとやはり悪天候ということで、出席者の方をとても案じられていたそうです。

宮内庁としても、改善点があればどうするかこれから知恵を出し合っていきたいというような思いも述べてます。というのも、前回の開催が4年半前で、時間が空いてしまっていたこともあってか、今回は段取りがよくなかった部分もあったかと思います。雨の影響で時間がどんどん伸びていくなか、招待された方々がずっと最後まで待っていて、2時間近くかかっていました。

それと同時に、時間をかけても両陛下が招待された方々に声をかけられていたという素晴らしい部分もあったと思います。これからいろんなことを検討し、宮内庁も考えていくんじゃないかというふうに思っています。

――次は秋ですね。愛子さまのご参加は?

秋の園遊会も、愛子さまのご参加は厳しいかもしれません。大学4年生、卒業間近になっていく中で、学業を優先されるのではないかと思います。

今回は、秋篠宮家の次女・佳子さまが初めて園遊会に出られました。

また、常陸宮妃華子さまが11年ぶりに全コースを進まれました。これまでだと途中でコースから離れられるということがあったんですが、今回は杖を使いながら全コースを行かれていて、本当にありがたいことだったなと思いました。

(FNNプライムオンラインYouTube「皇室親話」より)

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プライムオンライン編集部
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