顔を洗った後、布タオルで顔を拭くという人も多いだろう。しかし、今、洗顔した後、使い切りの顔専用ペーパーで顔を拭くのが、若い女性を中心に広がり始めている。コロナ禍による「衛生意識」「肌ケア」の高まりが背景にあるようだ。
実際、どれくらいの人が使っているのかというと、大手製紙メーカー・王子ネピアが2021年2月に行った調査では、全国の18歳~59歳の女性のうち、洗顔後に布タオル以外の使い捨て製品で顔の水分をふき取ったことのある人は41%存在した。そのうち、17%が「ほぼ毎日」、12%が「週1回程度」使用していると回答。
世代別にみると、18歳~19歳では61%、20歳~29歳では56.3%と若年層ほど高くなる傾向にあった。

また、大手日用品メーカーのユニ・チャームでも2022年7月に調査を行っており、18歳~24歳の40%がタオル以外のティッシュやペーパータオルなどを使用していることが分かっている。

「洗顔専用ペーパー」を続々発売
こうしたことを受けて、王子ネピアでは、3月に高価格ティッシュで知られる「鼻セレブ」から、洗顔後に顔の水分をふき取るのに適した仕様の洗顔専用ペーパー「ネピア 鼻セレブ洗顔専用」を発売した。「鼻セレブボックスティシュ」と比較して吸水速度は約3倍以上、ぬれた時のシートの強度は2倍以上で、素早く肌の水分をふき取ることができるという。


一方、ユニ・チャームは、4月に「シルコット(R)」ブランドから、顔用の使い捨てのシート「シルコット(R)フェイシャルタオル素肌おもい」を発売している。シルクのような肌触りで、シート1枚で顔全体を拭くことができる。


洗顔用の使い切りのペーパーで顔を拭く女性が増えており、それに対応した商品も続々と発売されているわけだが、実際、商品の売れ行きはどうなのか?
また、新たな生活習慣として浸透していくのか?
まずは、王子ネピアの担当者に話を聞いてみた。
元々、「鼻セレブティシュ」の使用用途の1つにあった
――「ネピア 鼻セレブ洗顔専用」の特徴は?
鼻セレブボックスティシュと比較して、吸水速度は約3倍以上、ぬれた時のシートの強度は2倍以上。エンボスが施されたシートが素早くお顔の水分をふき取ります。また、鼻セレブティシュと同じネピア独自のトリプル保湿成分を配合し、厚手でも柔らかな肌触りに仕上げました。パッケージも使用シーンに配慮し、洗面台でも安心して使えるように水に強い包装にしております。
メイクアップアーティストの方に、モデルメイク時にお試しいただいたところ、「メイクの上から汗をオフするなどにも非常に使いやすいです」と洗顔後だけでなく、メイク時の使用でも好評をいただきました。
――商品を開発したきっかけは?
ネピア鼻セレブティシュのロイヤルユーザーは、美容意識が非常に高いことが弊社の調査でわかっております。2018年以前に行ったユーザー様に向けた調査にて、鼻セレブティシュの使用用途の一つに「洗顔後に顔を拭きとる」というものが、既にございました。この用途に特化した製品を企画し、開発を行ってまいりました。製品化のめどが立ち、商品を発売することが社内にて決定されたあたりから急激に洗顔後に使い捨ての商材にて顔を拭く、という消費者行動が脚光を浴びた形となります。
――発売後の売れ行きは?
非常に好調に推移しております。現在、リアル店舗ではマツモトキヨシグループ様、ECではAmazon様、ロハコ様、自社ECでのお取り扱いとなりますが、バイヤー様からは、非常に高いご評価を頂いております。
コロナ禍のマスク生活で肌荒れに悩む人が増加
――購入者からの声は?
Twitterなどには、お肌の調子が良くなった、であったりパッケージデザインがカワイイ!など好意的なお声をたくさんいただいております。
――洗顔後、使い捨て製品を使う人が増えている理由はどんなことだと考えられる?
コロナ禍におけるマスク生活による肌荒れが一つの大きな起因だと考えております。スキンケア部門でも、「シカ成分」が脚光を浴びるなど「鎮静」「肌ケア」「肌荒れケア」と言ったワードが脚光を浴びていますが、同じように肌荒れに悩む方が多くなっているのではないかと考えております。
一方で、これもやはりコロナ禍に起因いたしますが、「清潔志向」の高まりにより布タオルに残る洗い残しや雑菌、匂いなどと言ったことに対する不満が大きいことがあると考えております。この布タオルの衛生に対する不満により、使い捨ての商材を使用しているという点は、弊社が2021年に行った調査結果にて確認ができております。

――今後、新たな生活習慣になっていきそう?
弊社で行った調査では、既に4割の方が2021年から習慣化しており、しかし専用の商品が世の中にあまりないと言った状況でした。専用の商品が多く商品化されてきましたので、しっかりと習慣として根付いていくと考えております。
売上計画に対して2倍の売れ行き ユニ・チャーム
続いて、ユニ・チャームにも、商品の売れ行きや、新たな生活習慣として浸透していくのか?担当者に聞いてみた。
――「シルコット(R)フェイシャルタオル素肌おもい」の特徴は?
凹凸が小さくなめらかで、シルクのような肌触りでお肌にやさしいのが特長です。
不織布吸収体加工技術の専業メーカーの当社は、独自に開発した技術で、天然コットンと植物由来のレーヨンを配合した日本製品となります。
ベビー用紙おむつでも取得する、赤ちゃんの肌にも使えるほどの安全性が認められた繊維製品の国際規格「エコテックススタンダード100」の最も厳しい条件「製品分類1(乳幼児用製品)」をクリアしています。

――商品を開発したきっかけは?
マスク生活の長期化に伴い、お肌をいたわるスキンケアへの関心が高まっており、洗顔後のお肌に残る水分をふき取るアイテムには、「お肌を清潔に保てるもの」や「お肌にやさしいもの」を求める方が増えているためです。
――発売後の売れ行きは?
売上計画に対して2倍の売れ行きです。お客様から大変好評です。
要因は「肌のケア意識の高まり」「潜在的なタイパ意識」
――購入者からの声は?
以下のようなお声をいただいております。
「肌表面の水分はすぐ吸収するのに、肌の内側の水分はしっかりと残してくれている感じがした。」
「とても柔らかくて、肌触りがとても気持ちがよかった。」
「シルクの入った高級なハンカチで拭いている感覚だった!」
「シートが大きくて、素材も厚手でしっかりしていて使いやすい。」
「パックやメイク落としにも使用でき、使用後は洗面まわりを拭くこともできるから二度嬉しい!」
――洗顔後、使い捨て製品を使う人が増えている理由はどんなことだと考えられる?
コロナをきっかけに衛生的な意識が高まった。そうした背景もあり、タオルの細菌やお肌への負担を気にする方が増えています。なお、コロナ禍で定着したペーパータオルの使用習慣が市場拡大を後押ししていると考えています。
――今後、新たな生活習慣になっていきそう?
特に若年層を中心に、新たな使用習慣になると考えています。要因は、コロナ禍により清潔意識の高まりが背景にあります。
〈1〉マスク生活でお肌のケア意識が高まり、普通のティッシュやキッチンペーパーではなく顏専用を使った方が良いと思われる方が増えていること
〈2〉タオルを洗濯するのが面倒なため、潜在的なタイパ意識がある方の利用が増加していること
〈3〉美容意識の高いKOL(Key Opinion Leader)によって専用ペーパーの使用をSNS等で継続的に推奨されること
コロナ禍による衛生意識や肌ケア意識の高まりだけでなく、タオルの洗濯が面倒だというタイパ意識のある人の利用も増えているようだ。洗顔後、使い切り製品で顔を拭く習慣は今後、益々浸透していくのかもしれない。