東京・台東区の風俗店で、今月5日、従業員の女性が、首などを刺されて殺害された事件で、警視庁浅草署は、32歳の客の男を逮捕した。女性から”出入り禁止”とされていたことに、一方的に恨みを募らせて犯行に及んだとみられている。

”出禁”男、偽名で風俗店を予約

警備会社の契約社員・今井裕(いまい・ゆたか)容疑者・32歳は、今月5日午前、台東区千束の風俗店の個室で、38歳の女性従業員の首や腹など3カ所を、持っていたサバイバルナイフで刺して、殺害した疑いがもたれている。この日、今井容疑者は、客として、店を訪れていた。

逮捕された今井裕容疑者(32)(13日午前、東京・浅草署)
逮捕された今井裕容疑者(32)(13日午前、東京・浅草署)
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今井容疑者は、少なくとも去年3月から、複数回、この店を利用し、被害者の女性を指名していたという。ところが、今年1月ごろ、女性から「店の予約ができない」などと告げられていたとのこと。

女性から、いわゆる「出入り禁止」を通告されていた今井容疑者。ところが、事件当日、今井容疑者は、偽名を使い、自分のものとは違う携帯電話の番号で店を予約。さらに、店側に気づかれないよう、変装までして来店していたのだった。

女性従業員を刺した後、自らの腹も

今井容疑者が予約を入れていたのは午前10時。従業員から「女性従業員が男性に刺された」と110番通報が入ったのは、午前11時20分ごろだった。この間、今井容疑者と被害者の女性の間で、どのようなやり取りがあったのかは分かっていない。

今月5日、台東区千束の風俗店に勤務していた38歳の女性従業員の首や腹など3カ所をサバイバルナイフで刺し殺害した疑いが持たれている。
今月5日、台東区千束の風俗店に勤務していた38歳の女性従業員の首や腹など3カ所をサバイバルナイフで刺し殺害した疑いが持たれている。

発見時、被害者の女性は、個室の中で、風呂場に足を向けて倒れていたという。女性は病院に運ばれたが、まもなく死亡した。死因は失血死だった。

一方、今井容疑者は個室を出たエレベーターホールで倒れていたという。店内に持ち込んだ凶器のサバイバルナイフで女性を刺した後、自分の腹を刺したとのこと。傷は深さ5センチまで達していた。

「彼女を殺し人生を奪おうと思った」

今井容疑者は事件後、入院していたが、浅草署は、ケガは回復したと判断。事件から8日後の今月13日、殺人容疑で。今井容疑者を通常逮捕した。調べに対して今井容疑者は「私が女性を殺してしまったことに間違いない」と容疑を認めている。

風俗店従業員の女性が刺された現場(5日 東京・台東区)
風俗店従業員の女性が刺された現場(5日 東京・台東区)

一方で、動機については「今まで予約できていたにもかかわらず、今年の1月中旬あたりに、彼女に店の予約が出来ないと言われた。先の見えない人生を送っていかなければいけないにもかかわらず、彼女は私の人生と相反して、きらびやかな人生を送っていて殺意が芽生え、彼女を殺し、その人生を奪ってやろうと思い殺しました」などと話している。

浅草署は、女性から「出入り禁止」にされたことに、一方的に恨みを募らせて、殺害に至ったとみて、犯行動機を追及する方針。これまでに、今井容疑者が「出入り禁止」となった経緯については分かっていない。現場は台東区千束の「吉原」地区の風俗店街。

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社会部
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