新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」へと移行し、街では感染対策の緩和がみられる中、重症化リスクの高い高齢者が入居する介護施設について、3年間新型コロナウイルスと闘ってきた現場の苦悩と「5類」移行後の対応を取材した。

この記事の画像(11枚)

はーとぽーと雫石 看護師・佐々木由紀美さん:
クラスターすごく大変だったけど、あれがあったから今がある。そのときにいろいろ勉強しましたから

介護施設でクラスターも…現場の苦悩とは

岩手・雫石町にある介護老人保健施設「はーとぽーと雫石」の看護師・佐々木由紀美さんは、この3年間、新型コロナウイルスの対応について指揮をとってきた。

この施設では2022年12月にクラスターが発生し、入居者と職員合わせて100人ほどが感染し、収束までには約5週間かかった。

はーとぽーと雫石 看護師・佐々木由紀美さん:
半分以上が自分で動ける人なので、いつも通り友達と話をして、結局広がってしまったのが実際でした

感染した人としていない人を分けても、認知症の人が暮らすこの施設では、感染者が仕切りをすり抜け歩き回るため、拡大をとめることは難しかったという。

また、職員が濃厚接触者となり人手が足りず、現場は戦場のようだったと話す。

はーとぽーと雫石 看護師・佐々木由紀美さん:
介護業界は本当に人が今足りない中で、(コロナに感染し)人がいなくなると大変。施設だと病院も入院させてくれない。結局施設で診る、看護師がいるから

コロナ前の“日常”を取り戻すために

県介護老人保健施設協会が会員施設に行ったアンケート調査の結果では、第6派から第8派の期間(2022年1月~2023年2月)、新型コロナウイルスに感染し、医療機関への入院を望んだ入居者のうち、希望通り入院できたのはわずか1割にとどまった。

今回、新型コロナウイルスが5類へと移行したことにより、コロナ患者の入院を受け入れる医療機関の数は2倍以上の76に拡大した。この施設では、感染者が出たときの安心感はあるものの、県などが行ってきた入院調整が段階的になくなるため、今後も近隣の医療機関と連携しながら対応していきたいと話している。

また、5類移行を前に、3月から家族との面会を15分以内という条件付きで解禁していて、コロナ前の日常を取り戻す動きを進めている。

はーとぽーと雫石 看護師・佐々木由紀美さん:
(新型コロナの対応は)基本的には変わらない。5類に移行した時点で世の中が緩和の動きなら、施設もそうなっていかないと駄目じゃないか。その中でもどこでラインをひくかが重要

はーとぽーと雫石では基本的な感染対策は継続しながらも、今後地域の人と交流するイベントを再開するなど対応を模索している。

(岩手めんこいテレビ)

岩手めんこいテレビ
岩手めんこいテレビ

岩手の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。