「生理用品を奪いたい」。女性への強盗致傷などの罪で懲役4年の判決を受けた男の動機は、その身勝手な欲望だった。5月8日に福井地方裁判所で開かれた判決公判では犯行の危険性が指摘され、執行猶予のつかない実刑判決が下された。

約2カ月前から事前の下見や凶器を準備

強盗致傷と建造物侵入の罪で実刑判決を受けたのは、福井・坂井市の無職・坪川昌弘被告38歳。判決によると、被告は2022年4月11日午後11時半ごろ、坂井市内の路上で当時22歳の女性の首を後ろからケーブルで絞めた。

現場近くの路上
現場近くの路上
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女性を気絶させた後に「おりものシート等を奪おうとした」というのが犯行の動機だった。女性は声を上げて抵抗したため、強奪は未遂に終わった。ただ、女性は首に全治2週間のけがを負った。女性との面識はなかった。

準備は約2カ月前から進めていて、事前の下見や凶器を準備していたという。犯行までにも複数回、女性を襲い生理用品を強奪しようとしたが、連れ添いの人がいたことから犯行にまでは踏み切れなかった。

現場近くの路上
現場近くの路上

犯行の日は被告の誕生日だった。深夜に1人で歩いている女性の後をつけ、犯行に及んだ。被害女性は、必死に抵抗するものの首を絞め続けられ「死を覚悟するほどの恐怖」を味わい、福井地裁は「その危険性を低く見ることはできない」とした。

逮捕後、被告は被害女性には弁護士を通じて直接謝罪したいとお願いしていたが、断られたという。裁判で被告は「自分勝手な行動でけがや怖い思いをさせてしまい、申し訳ない」と謝罪を口にした。

坂井市内のJR駅交流施設の女子トイレ
坂井市内のJR駅交流施設の女子トイレ

強盗致傷事件の約2カ月後、被告は坂井市内のJR駅交流施設の女子トイレにも侵入していた。トイレに捨ててある「使用済みの生理用品を入手する」(判決文)のが目的だった。しかも1回だけではない。約3週間の間に、3回同じ女子トイレに侵入した。被告は集めた生理用品を自宅の部屋に保管し、それを使って自慰行為に及んでいたという。

弁護側は被告が職場で暴力を振るわれストレスを抱えていたこと、自閉症が疑われる点を主張し、保護観察付きの執行猶予処分を求めていた。判決では「生理用品への強い執着心」を認定し、懲役4年の実刑判決を下した。執行猶予はつかなかった。

判決が読み上げられる間、被告は表情を変えずに聞いていた。

弁護側は「控訴するかは本人と話して決める」としている。

(福井テレビ)

福井テレビ
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