様々な布を縫い合わせて、ひとつの作品が完成する「パッチワーク」。2023年、99歳を迎えた作家、佐藤みい子さんの展示会が5月9日から仙台市で始まった。「99歳で展示会を開くのが夢」だったというみい子さん。この日を特別な思いで迎えていた。

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99歳でかなえた夢 

白やピンク、紫の布が合わさり、花模様に…。「花園」が表現された作品。

 
 

仙台市青葉区で、5月9日から始まったパッチワークの展示会。異なる布を縫い合わせて仕上げられた作品、約50点が並んでいる。

高橋咲良アナウンサー:
こちら高さ2メートルを超える大きな作品なのですが、4カ月で制作したということです。タイトルは、「万華鏡」です。様々な色や柄の布が合わさって美しい万華鏡のようになっています。

作品をつくったのは、パッチワーク作家の佐藤みい子さん。
5月5日に99歳の誕生日を迎えた。

佐藤みい子さん 99歳になった今もパッチワーク作家として活動している
佐藤みい子さん 99歳になった今もパッチワーク作家として活動している

佐藤みい子さん(99):
きょうのお天気のように、晴れ晴れとして、うれしくて…。最高の幸せ。

仙台市の自宅でパッチワークを製作するみい子さん
仙台市の自宅でパッチワークを製作するみい子さん

仙台市太白区の自宅で作品作りに没頭する日々。1日5~6時間、時には10時間近く針を持つ日もある。図面はない。事前に頭の中にあるデザインを形にしていくという。

佐藤みい子さん(99):
針を持つと気持ちが落ち着くから、結局忙しくても1日5分でも10分でも持ちたい。道路を歩いていても、タイルなんかを見ると「これパッチワークにいいな」と思うのね。でも、家に帰ってくるまでに忘れるんだわ(笑)。

みい子さんが独学でパッチワークを始めたのは55歳の時。きっかけは、夫の学郎さんが亡くなったことだった。

佐藤みい子さん(99):
主人が亡くなって手持ち無沙汰だということと、子供や孫に何かおばあちゃんの生きざまを残しておきたいという思いで始めた。

作品に刻んだ「希望・夢・感謝」

75歳の時には、自宅に生徒を招いて教室を開き、3年に1度のペースで展示会を開いていたという みい子さん。しかし、その展示会も、新型コロナの影響では中止にせざるをえなかった。

佐藤さんが自宅で開いていたパッチワーク教室(2016年)
佐藤さんが自宅で開いていたパッチワーク教室(2016年)

『99歳の誕生日に展示会を開きたい』
本当に開催できるか、先行きが見通せない中でも、みい子さんは「夢」に向かい、針を持ち続けた。

佐藤みい子さん(99):
まもなく100歳だから、最後のものを飾りたいな、みんなに元気をあげたいと思いましたけど、だいぶ迷いました。でも家族が一生懸命、企画から何から全部やってもらったので、何とかできるようになりました。本当にうれしい。冥土の土産ができました。

孫の小畑智子さんは、「祖母の手仕事を残したい」と、2022年からYouTubeで動画を公開し、みい子さんを側で見守ってきた。

孫の小畑智子さん
孫の小畑智子さん

孫・小畑智子さん:
展示会は今回で最後と本人は言っているので、何ひとつ見逃すことがないように、やり残すことがないように力を合わせて。

展示会に合わせてつくった作品がある。タイトルは「私の好きな言葉」。希望・夢・感謝という言葉が記されている。

佐藤みい子さん(99):
この言葉を私が好きだから、切り抜きしました。これを目標に生きてきたんじゃないかな、自分自身が…。

いくつもの布をつなぎ合わせるパッチワークのように、みい子さんを支えるたくさんの人たちの思いがつながり、開催に至った4年ぶりの展示会。会場には県内外から多くの人が集まった。
神奈川から来たという女性は、「YouTubeで見て、ぜひ見たくて来た。感動して涙が出そう」などと興奮気味に語った。

99歳になって夢を叶えたみい子さん。改めて今の思いを聞いた。

佐藤みい子さん(99):
「夢」がふくらみました。展示会が終わったら仕事何しよっかって考えていたけど、もっと生きようっていう力が出てきました。いつまで生きるんだか、化石人間になるのでないかと…(笑)。

再び、新たな「夢」に向かってスタートを切った99歳のみい子さん。これからも、針を持ち、様々な人の思いとともに、布をつなぎ合わせていく。

(仙台放送)

仙台放送
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