近年、座っている時間が1日あたり30分以上増加したというデータがある。長時間のデスクワークやコロナ禍のテレワークなどが主な要因だが、この座るという時間が増えるとある病気の死亡リスクが高まるということがわかってきた。

その病気とは「がん」だ。座る時間とがんの関連性について、専門家に聞いた。

世界的に見ても座る時間が長い日本人

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そもそも、日本人は1日平均どのくらいの時間座っているだろうか?世界20カ国を対象に行われた国際調査では、世界の平均が5時間だったのに対し、日本は7時間という結果が出た。
この数字は20カ国中、最も長かった。

今野真帆アナウンサー:
座る時間と健康について、アメリカの国際的な医学雑誌に興味深い論文が出ています

2020年に発表されたこの論文によると、座っている時間が最も長かった人は、最短の人に比べて「がんの死亡リスクが82%高かった」という。その要因について、福井県済生会病院の集学的がん診療センター長、寺田卓郎医師に聞いた。

福井県済生会病院 集学的がん診療 センター長・寺田卓郎医師:
がんになった人は、ならなかった人より35分間座っている時間が長かった

30分ほどの差だが、実はこの30分の使い方が重要となる。別のアメリカの研究をみると、座る時間の30分を運動に変えることで、がんの死亡リスクを低減できるという。

具体的にはウォーキングなどの軽度な運動で8%、サイクリングなどの中等度の運動で31%、がん死亡率が下がるとしている。

福井県済生会病院 集学的がん診療 センター長・寺田卓郎医師:
生活習慣病から、がんになるリスクが高まるとは前から言われているが、こういったデータを示すことで生活習慣を変えて、がんを減らすことができるのではないか

がんのリスクは遺伝や感染を除き、喫煙や飲酒など主に5つの生活習慣が関係すると考えられている。
それが1 喫煙、2 飲酒、3 食生活、4 運動不足、5 適正体重(BMI)の管理不足だ。このうち、座りすぎは4の運動不足につながる。

座りながらできる簡単な運動も

身体活動の強さを表した指標では、座って安静にしている状態を1とすると、立って会話をするとエネルギー消費量は1.8倍に、普通の速度のウォーキングでは3倍になる。

この座っている状態のエネルギー消費量1は寝ている状態とほぼ変わらないとされている。

ただ現代人は時間に追われ、運動の時間をとれない人が多い。その場合は、座っている30分の時間を簡単な運動に置き換えることが重要となる。

仕事中にできる対策の1つが「椅子から立ち上がる」こと。30分、難しければ1時間に1回は椅子から立ち、2~3分程度のストレッチを行う。

頻繁に席を立てない場合は、机の下で両足を伸ばし指や足首を動かしたり、かかとの上げ下げをしたりするだけでも、がんで死亡するリスクが低減するという。

福井県済生会病院 集学的がん診療 センター長・寺田卓郎医師:
座る時間を短くし運動することで、がんのリスクを下げましょう

(福井テレビ)

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