岐阜市の長良川鵜（う）飼が5月11日に開幕する。2023年はコロナ禍からの復活に期待が寄せられているが、コロナ禍で船頭の多くが離職したため、新たな船頭のトレーニングが続いている。
観覧船の多くの船頭が離職も求人強化し育成
1,300年以上の歴史があるといわれる、岐阜市の長良川鵜飼。かがり火の幻想的な光が水面に浮かび上がる夏の風物詩が、いよいよ5月11日に開幕する。
開幕に向けて鵜の健康診断が行われるなど準備万端だが、2023年の鵜飼には並々ならぬ期待がかかっている。
鵜飼観覧船事務所の所長：
コロナ感染症が5類に移行となりますと、今年（2023年）がまさに「鵜飼元年」なのかなと
コロナ前は10万人ほどで推移していた観覧船の乗客数。しかしコロナが直撃し、2021年には緊急事態宣言による中止もあり、1万人台にまで落ち込んだ。
マスクなどコロナの規制が緩和された2023年はまさに勝負の年。「鵜飼元年」と位置づけ、準備にも気合が入る。
熱心に点検をする船は、2022年に新たに導入された高級観覧船。美濃和紙をイメージした「白月(しらつき)」や…。
かがり火をモチーフにした「花篝(はなかがり)」など3隻があり、料金は15人乗りで13万4,100円と通常の約3倍だ。
2022年まではコロナ対策で乗客の定員を通常の7割に抑えていたが、2023年は一部の船を除き通常に戻していて、アクリル板の仕切りも撤去を検討している。
鵜飼観覧船事務所の所長：
インバウンドのお客さまもかなり増えてくるんじゃないかということもありまして、コロナ前の毎年10万人というお客さんに来ていただいていた時代に戻していくような年にしていきたい
その期待はすでに数字にも表れている。予約の受付は4月5日から始まったが、その予約数は2022年の同じ時期に比べ3倍に増加。2023年は乗船客8万5,000人を目標に掲げた。
鵜飼完全復活への兆しは、周辺の宿泊施設にも出てきている。
岐阜長良川温泉旅館協同組合の伊藤理事長：
団体のお客さんもボチボチ予約が入っていますし、（インバウンドは）香港・台湾・マレーシア・インドネシアというところが、この長良川地区に訪れているようでございます
鵜飼元年への期待が高まるが、コロナの後遺症ともいえる課題もある。観覧船を操縦する船頭の多くが、コロナによる開催中止で収入が激減し、職を離れてしまったのだ。
鵜飼の迫力を間近で楽しめる観覧船が動かなければ大きな戦力ダウンだが、20日に長良川を訪ねてみると、新たな船頭を育てるトレーニングが行われていた。
鵜飼観覧船事務所の大洞さん：
今年（2023年）5月にデビューされます新しい船頭さんが約40名おみえになります
鵜飼観覧船事務所では船頭の求人を強化。大学生や主婦の女性なども含め、新たに40人もの船頭を採用した。開幕に向けて徹底した訓練を繰り返し、育成している。
鵜飼観覧船事務所の大洞さん：
採用した多くの船頭の方々、ならびに事務のスタッフも含めて一丸となりまして、次世代に鵜飼の良さ・伝統をうまく伝えていけるような経営をしていきたい
1,300年以上の歴史を後世につなぐためにも、まさに勝負の鵜飼元年が始まろうとしている。
（東海テレビ）
