SNSで話題になった“反射しすぎる服”。この服を開発した福井の企業が4月、反射素材を使った服などを扱うアパレル店をオープンした。福井は交通事故での死亡者数が全国でワースト5位。「おしゃれに命を守ってほしい」と提案する企業の狙いを取材した。

反射材を“生活”に取り入れる仕組み

2021年1月、SNSで雪の中で男性1人がたたずむ写真が話題になった。男性が着ている服が「光りすぎていた」からだ。これは反射素材が入った生地でつくった服で、当たった光をオーロラのように多様な色で反射させている。

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この反射素材を使った衣服類の製造・販売を手掛けるのが、2024年で創業40年を迎える福井市の「丸仁」だ。

丸仁は洋服に文字やマークなどを張り付ける「転写」を手掛けるが、創業時からこの転写と相性がよかったため、反射素材の研究・製造も続けてきた。

反射素材はこれまで作業着などに使われてきたが、丸仁では生活に取り入れやすいよう、3年前からオリジナルのアパレルブランドを展開している。

株式会社 丸仁・雨森研悟社長:
普段着られるような色や形、洗濯ができるものをつくってきて、今の形になった

Tシャツやトレーナー、帽子などさまざまな商品を展開している。ターゲットも子どもから大人まで幅広い。

福井テレビ・佐々木菜緒記者:
この服は全体が反射材になっています。これは夜、目立ちますよね

この服には、光を7色に反射する「オーロラリフレクター」という素材が使われている。10年前に特許を取得した素材で、最先端のファッションを発表する「パリ・コレクション」や有名アーティストのライブ衣装などにも使われている。

人気ユーチューバー「はじめしゃちょー」が動画で取り上げると、オンラインストアのアクセス数が一気に30倍になった。光が当たると色やデザインが変わることから、「映える!」と若者を中心に人気を集めている。

夜間の事故を防ぐために

福井は2022年、人口10万人あたりの交通事故死亡者数が全国ワースト5位となった。死者27人のうち、11人が夜間に事故に遭っていた。

福井県警は事故に遭うおそれが高い高齢者に反射材を配り、事故防止の啓発を続けている。丸仁では夜間の事故を防ぐためにも、反射素材を使った自社ブランドの服を広めたいと意気込む。

株式会社 丸仁・雨森研悟社長:
福井は外灯が少ないし、車に乗っている人も多い。夜間に事故に遭わないよう、自衛の意味で反射材を使ってもらいたい

これまではオンラインのみでの販売だったが、4月に店舗をオープンした。

実際の店舗で試着して、「おしゃれ」に命を守る取り組みが始まっている。

(福井テレビ)

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