新学期が始まり、子どもたちの生活環境も変わるこの時期、特に注意したいのが交通事故だ。歩行中の子どもの事故のうち「7歳」の死傷者が最も多いことから「魔の7歳」と呼ばれている。
7歳児の事故はなぜ起きるのか、どうすれば防ぐことができるのか、ドライバーが注意すべきポイントを取材した。

「魔の7歳」…原因は

新学期が始まって1週間。朝の島根・松江市内では、小学校近くの通学路で、速度違反の取り締まりが実施された。

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入学したばかりの新1年生がまだ慣れない通学路での事故を防ぐため、ドライバーに安全運転を徹底してもらう狙いだ。

島根県警交通指導課・景山弘太郎課長補佐:
今まで、保育園や幼稚園に通園している頃は、お父さん、お母さんと手をつないで歩く機会が多かったと思うが、小学校に上がり、子どもたちだけで外を歩く機会が増えるので、交通事故に遭う危険性が高まるのではと考えている

後を絶たない歩行中の子どもの交通事故。中でも多いのが、小学1、2年生にあたる「7歳児」の事故だ。

鳥取県警によると、過去10年間に歩行中の事故で死傷した子どもは163人。このうち7歳児は、35人で最も多く、「魔の7歳」とも呼ばれている。

では、なぜ7歳児の事故が多いのだろうか?自動車学校の教官に聞いた。

イナバ自動車学校・本家侑也教官:
こちらのコーンの高さが75cmくらいです。これをしゃがんでいる子どもに見立てて、車の約1メートル前に置いてみます。いまこの状態だと俯瞰(ふかん)してみればよく見えるが、車内からはどう見えているのか、確認してみましょう

本田航太記者:
実際に運転席から見てみたんですけど、全く見えないですね、車体に隠れて

イナバ自動車学校・本家侑也教官:
子どもが車の前にしゃがんでいると分からない。子どもは、大人の目線では追いつかない場所にいることもあるので、気を付けないといけない

原因のひとつが、ドライバーからの「死角」だ。
小さな子どもが車の影に「いない」のではなく、「見えない」だけなのかもしれない。

子どもと大人の「視野」の違い

さらに、別の原因もあるという。

イナバ自動車学校・本家侑也教官:
次は、大人と子どもの視野の違いについて実験。子どもは大人と比べて視野が3分の2程度しかないと言われている。大人のような判断力もないので、車道に「飛び出し」しやすい。

大人の場合、車が視野に入ったのは10メートル手前。
次に、子どもの視野を疑似体験できるゴーグルを使ってみると...。

本田航太記者:
近い、さっきより近いですね。こんなに来ていたんですね。びっくりしました

車が視野に入ってきたのは、わずか3メートル手前の地点だった。大人に比べ、子どもの視野が狭いことがわかる。
この視野の狭さのため、子どもが近づく車に気づかず、道路に飛び出してしまうのだ。

イナバ自動車学校・本家侑也教官:
ドライバーの多くは、自分から歩行者が見えているのだから、歩行者からも車が見えていて「危険ではない」と考える。車から見えていても、時に危ないのが「子どもの動き」なので、ドライバーも子どもの特性を理解して、危険を常に予測する「かもしれない運転」を意識しながらハンドルを握っていただければ

「運転席には死角がある」、「子どもの視野は狭い」。
子どもたちが新しい生活に胸を膨らませる新学期、大人たちが「かもしれない運転」を心がけることが「魔の7歳」の事故防止につながる。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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