ミシンで縫うことができる「木」があるという。開発したのは金沢市にある老舗の木工芸品製造会社。「ミシンで縫える木」はこの会社の社長が12年かけて開発したそうだ。いったいどんなものなのか取材した。

開発に12年!ミシンで縫える木

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薄く削られた木のシート。

バッグに使われているのは、布では無く木だ。

木の固定概念を覆したこの縫える木。木でありながら柔らかく、新しい製品が次々と生み出されている。

この「ミシンで縫える木」を生み出したのは、株式会社谷口の谷口正晴社長だ。

竹内章アナウンサー:
こちらがショールームですね。1番目を引くのがバッグ。これが皮と木で作られている?
谷口正晴社長:
皮と木がコラボした商品ですね。木がミシンで縫えるようになったというのがこの商品。丸太を買ってきて、それを板状に製材してそれからスライスする。0.1mm~0.15mmの厚みにしないとこういう商品にならないんです。

竹内アナ:
そんなに薄いと…僕のイメージだとパキッと割れちゃいそうですが。
谷口社長:
丈夫なものにするのに12年ぐらいかかりました。

竹内アナ:
加工を施しているんですか?
谷口社長:
裏だけ補強しないといけないので、特殊加工で表面は木そのものですが、裏の特殊加工によってこういう商品が出来るようになりました。

ミシンで縫える木が開発された事で、木を使った洋服ができるなど、色んな物に使えるようになったと言う。

谷口社長:
曲げたり折り曲げたとしても何の問題もないです。
竹内アナ:
折り曲げてもすぐに元に戻りますね。シワも分からないですね。極端なことを言うと、表はヒノキで裏は綿だから、土に還るわけですか!究極のSDGsですね。

服・折り紙やスマホケースなど変幻自在!新たな木の可能性

谷口社長:
こちらが木をスライスする機械です。これで0.13mmぐらいの厚さです。

竹内アナ:
かつお節みたいですね。物凄く木の良い香りがします。

竹内アナ:
これをプレスしたらピーンと伸びるわけですね。これだけ薄くなっても木目って綺麗に出るんですね。すごく良い香り。
谷口社長:
数カ月間は香りが続きます。

竹内アナ:
木のシートの着想はどこから?
谷口社長:
木の表面を削って出た木くずをこれまで全部燃やしていたんで、何とか製品にならないかと考えていたんです。

谷口社長:
色んなことを試行錯誤していたら、捨てるやつが商品に変わってしまいました。

今は、バッグはもちろん、折り紙、ランプのシェード、壁紙としても使えるようになった。

谷口社長:
木を持っている山の地主と森林組合と私たちが一緒になって売れる商品を作らないといけないと思っています。使える木がたくさん出てくると、山を持っている人も山の手入れに力を入れるような時代になってくるから。

竹内アナ:
何にでも応用できるんですか。
谷口社長:
そうですね、今は布や皮や合皮に代わるものが木として出てきています。我々は木の需要が大きくなることを目的としています。できれば木の商品が一般の消費者にいきわたるような製品づくりをしていきたいです。

(石川テレビ)

石川テレビ
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