陸上の日本知的障がい者記録を持つ、18歳のスプリンターが旅立ちの春を迎えた。この春地元の支援学校を巣立つ臼木大悟選手が、新社会人として、そして選手として、2024年のパリパラリンピックを見据えスタートを切った。

高校最後の大会では有終の美

長崎・諫早市にある長崎県立希望が丘高等特別支援学校で卒業式が行われた。注目のスプリンターにとって節目の日だ。

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臼木大悟選手、18歳(取材当時)。日本知的障がい者陸上競技連盟が認定する、男子100メートルと200メートルの日本記録保持者だ。

長崎県立希望が丘高等特別支援学校・松尾徳男校長:
インターハイは逃したけどこれから大人の世界です。練習はうそをつきません、目指せパリパラリンピック!期待しています

臼木大悟選手:
日本ID(知的障がい者の日本記録)もどんどん更新して、世界一を狙っていけたらなと

臼木選手は軽度の知的障がいがある。小学4年のとき、友達に誘われて競技を始め、中学2年でジュニアオリンピックの長崎県代表として全国の舞台に立った。身長184cm、ストライドの大きさを生かした走りが持ち味だ。2年生の長崎県高総体では100メートル10秒77(3位)、200メートル21秒54(2位)と自己ベストを更新。

当時、最終学年へ抱負を語っていた。

臼木大悟選手:
10秒3台を出してインターハイ、国体に出場して優勝します!

しかし2022年の長崎県高総体の前に、くるぶしを疲労骨折。県内の特別支援学校初のインターハイスプリンター誕生はかなわなかった。それでも、2022年に栃木県で行われた秋の全国障害者スポーツ大会では短距離3種目を制し、高校最後の大会で有終の美を飾った。

「とても感謝しかない」

支えてくれた家族や指導者に抱く感情は…。

監督・前田真一さんと
監督・前田真一さんと

臼木大悟選手:
3年間の中で、とても感謝しかないです。ありがとうございました

前田真一監督:
コロナに翻弄(ほんろう)された学年だったが無事に卒業できたことはうれしく思う、またこれから一つの通過点なので先を目指す彼の活躍を期待している。近いうちに400メートル50秒台切ってね

節目の日を迎え、家族への感謝の気持ちも伝えた。

臼木大悟選手:
小さい頃から見守ってくれてありがとう

臼木選手の祖母・早田照代さん:
本当ね、頑張ったね

臼木選手の母・芳恵さん:
今からどんどん社会人になって自分で練習を組んで、一社会人として、陸上選手としてしっかりやっていってもらいたい。まだまだ支えることはあると思うが、社会人は学生生活とはまた違うので、しっかり頑張ってください、応援しています

2024年の「大きな目標」

臼木選手は2023年4月から地元の銀行に就職し、諫早の陸上クラブで競技を続ける。「大きな目標」も定まった。

臼木大悟選手:
今後の目標は世界大会に出場して自己ベストを出す!来年(2024年)行われるパリパラリンピックに出場します!長崎に残るので長崎に貢献できるような、役に立てられるような社会人になりたい。来年のパラリンピックに向けて、練習をどんどん積み重ねて自信が持てるように頑張りたいです

2024年のパリパラリンピックへ!注目のスプリンターが新たな一歩を踏み出した。

(テレビ長崎)

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