13年ぶりに実施された宇宙飛行士の選抜試験に合格した、諏訪理(まこと)さん(46)と、米田あゆさん(28)が、午前11時半から、JAXAで記者会見を行った。アメリカ滞在中の諏訪さんは、リモートでの出席となった。
会見で諏訪さんは、「宇宙飛行士は、小さい頃からの夢だった。宇宙飛行士候補として、ここに座っていることを、大変幸せに思っている。大きな責任を負うことになったという感覚も持っている」と話した。
米田さんは、試験合格の報告を受けた際の心境について、「喜びと同時に、ビックリ、驚きというところがあった」と語った。また、先輩・宇宙飛行士の向井千秋さんの伝記を読んだことが、宇宙飛行士を志したキッカケだったことを明らかにして「選んでもらったことに、責任感、使命感を感じている。身が引き締まる思いがしている」と話した。



諏訪さんは、1977年生まれ、東京都出身。2007年、プリンストン大学大学院地球科学研究科を卒業。翌年、青年海外協力隊にてルワンダに派遣されたという。2010年、国連・世界気象機関(WMO)に入社。2014年から世界銀行に入行し、上級防災専門官として勤務している。
米田さんは、1995年生まれ、東京都出身。2019年、東京大学医学部を卒業後、東大附属病院で勤務。2021年、日赤医療センターに入り、去年10月からは、虎の門病院に派遣されているという。
現役の日本人宇宙飛行士は6人で、いずれも男性。米田さんは、向井千秋さんと山崎直子さんに続き3人目の日本人の女性宇宙飛行士で、現役の日本人最年少宇宙飛行士となる。
今回の募集には過去最多となる4127人が応募。合格した2人は英語試験やプレゼンテーション試験のほかに、運動能力を図る試験などを経て選ばれた。

新たに宇宙飛行士となる2人は、有人月面探査「アルテミス計画」に参加し、日本人で初めて月面に着陸する可能性がある。
月面探査について諏訪さんは、「月は、日本人にとって、非常に特別な思い入れがあるもの。本当に、宇宙開発は、面白い局面に来ていると思う。少しでもアルテミス計画に貢献できるよう訓練も頑張りたい」と述べた。
米田さんは、JAXAの宇宙飛行士募集が「月食」の日だったことを振り返り、「みんなの憧れの場所で、思いを寄せる所。私も、そこに行けるチャンスがあれば、挑戦してみたいと思った」などと話した。
一方で、「46歳」という年齢での宇宙飛行士選抜について質問されると諏訪さんは、「今までの経験の掛け算で、どのような付加価値を作って、貢献できるのかが問われている」などと述べた。
これに対して米田さんは、「若い女性」として宇宙を目指すことについての質問には、「若い女性であることを意識するのではなく、ひとりの宇宙飛行士候補生として頑張っていければ」などと答えた。
今後、2人は、オリエンテーションの後、基礎訓練を通じて、必要となる科学技術や、国際宇宙ステーション、宇宙探査などに関する知識・技量を習得。基礎訓練の結果を評価した上で、JAXAの宇宙飛行士として認定される予定。