生徒数が急増し、中学校を新たに建設するため埋め立て工事が行われている池で、生き物の生態調査が行われた。福岡市西区で実施された、池の水を抜いての調査。そこにはどんな生き物がいたのだろうか?

フナの稚魚やメダカを確認

福岡市西区の「湯溜池」。

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池の中央部には、鉄製の仕切りが設けられている。

生徒数が急増している同区の元岡中学校から分離して、中学校を新設するため2022年9月から、池の半分を埋め立てる工事が進められている。
問題は、埋め立てる側の池にすむ生き物をどう守るか。

それを解決するため、この池にもともと生息している在来種を保護し、外来種を駆除する目的で生態調査が行われた。参加したのは、市の職員や建設会社のスタッフなど約40人。生き物を捕獲しやすいよう、池の水は前の週から50cmほどになるまで抜かれている。

坂本奈都美リポーター:
作業員たちが網を使って魚の捕獲作業を行っています。一体どんな魚が捕れているんでしょうか

できるだけ多くの生き物を保護するため、網で囲い込む「巻き網」という方法をとった作業員たち。大量に捕れることも想定し、網をつり上げるクレーン車も用意した。
そうした中、まず見つかったのは…。

九州大学 工学研究院・林博徳准教授:
ギンブナです

体長15cmほどのギンブナのほかにもフナの稚魚や、今ではほとんど見かけなくなったメダカなどが確認された。

九州大学 工学研究院・林博徳准教授:
たくさん稚魚が捕れているので、ここの池で産卵して増えています。問題だと言われている外来種が多いと稚魚が食べられちゃうので、外来種がいないんだと分かりますね

「大物!」その正体は…

その後も網を入れ続けるが、ブラックバスやブルーギルといった外来種は見られない。

しかし、作業を始めて約6時間。「大物!」と子どもたちの間から歓声が上がった。

今回の調査で一番の大物、コイだ。在来種と思われがちだが、実は外来種。大きさを測ってみると…。

建設技術研究所・宮島泰志さん:
大きさ80cmくらいありますね

その大きさに子どもたちも大興奮!興味津々で触り始めた。

見学に来た子ども:
すごいと思った。めっちゃヌルヌルだった

子どもの親:
子どもたちには、とってもいい経験だなと思って、参加させていただいてよかったなと思っています

「同じ環境を保全していけたら」

結局、この池から見つかった外来種はコイのみで、池の生態系を壊してしまうような種類の魚は確認されなかった。

建設技術研究所・宮島泰志さん:
なかなか珍しいですね。小さい稚魚が多いのは、外来魚の影響を受けてなくて、このため池が自然の状態に近いことが分かります

福岡市教育委員会 教育環境部・堀尾大輔課長:
残す方の池に魚を移すことになりますので、引き続き同じ環境を保全していけたらいい

この調査で捕獲された捕獲されたコイは駆除されたが、メダカやフナは、埋め立てられずに残される池に放流されたという。

(テレビ西日本)

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