自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。
今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家が注目したのは、こんなお話。
「カメラを向けるとほっぺたを押さえて『ブー』!、鼻の穴をひろげて『ブタ鼻』に!気づけば記念写真が全部“変顔”になってしまっている…」
家族旅行や学校などの行事で、写真を撮る機会も多い子どもたち。でもなぜかいつも“変顔”ばかりして、おもしろ写真ばかりが増えていく!
クラス全員で写る集合写真で“変顔”しちゃう、というパターンは少ないかもしれないが、家族のアルバムが変顔だらけになってしまうのもちょっと残念だし、七五三などのスタジオ撮影で撮り直しを連発してしまうのも困りもの。
カメラを向けられるとつい恥ずかしくなっちゃう?それとも子どもたちなりの“キメ顔”をしている?入学式に学校の前で撮る記念写真など、せめて大事な写真はシャキッと写ってほしい…!
子どもたちがついついしちゃう変顔の謎と回避方法について、育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。
変顔が「その子にとって心地いいポーズ」になっている
――写真にいつも“変顔”で写る子どもたち…一体どうして?
真面目な顔をするのが照れくさいから変顔をする子、周りがリアクションしてくれるからそれを喜びとしている子、あとは変顔だけれど本人的にはキメ顔だと捉えている子など、いろいろ理由はあると思います。いずれも変顔がその子にとって心地いいポーズという点で共通していると思われます。
逆に変顔が無理という子もいますよね。私が住んでいるアメリカでは、子どもたちが集まると、だいたい何枚か撮影したのちに、その中のママのだれかが「次は変顔で~」とリクエストします。ですが、やはりシャイな印象のある子ははにかんでしまいます。変顔はする子、しない子がはっきり分かれていて、ほどほどというのがないのかもしれませんね。
――子どもがカメラを向けられるとついしてしまう行動…ほかにはどんなものがある?
写真撮影というのはその子の性格が出やすいなと感じています。たとえば子どもたちの集合写真を撮ろうとすると、最前列で寝そべりポーズしちゃう子、隣の子にちょっかいを出しちゃう子などはあるあるではないでしょうか。
反対に写真に写るのが苦手な子はどの年代でもいるものです。カメラを向けられると、表情が固く真顔になったり、自分の顔を手で覆ってしまうこともあるようです。
あとは意図的ではないのですが、フラッシュを使うといつもまぶしくて目をつむってしまう子もいます。とくにお子さんが多いご家庭や保育園や幼稚園などの集合写真では、全員がカメラ目線で目もパッチリ開き、しかも笑顔という1枚は難しいものです。変顔などとはタイプが違いますが「すぐに目をつむっちゃう」というのも、写真撮影時の悩みと言えるでしょう。
――せめて大事な写真はきちんと写ってほしい!どうしたら伝わる?
ふだんの写真は変顔OKだけど、特別な時はダメというオンオフを教え込もうと思うと、子どもたちには難しいこともあるかと思います。ただ期待できそうなこととしては、撮影者によって、子どももかしこまるのではということです。
お家の顔と外での顔が違うことはよくあるので、だれが写真を撮るかというのは、少なからず子どもに影響を与えると思います。七五三などのイベントで写真スタジオで撮影する場合は、初対面のプロの前ではおふざけしにくい心理がうまく作用することもあるでしょう。
そんな環境下でもまったく物怖じしない子であれば、事前に担当のカメラマンの方に伝えておくのもいいかもしれません。とくにキッズ向けのスタジオはカメラ担当の方も盛り上げ上手ですので、そこを抑えていただき「真面目な撮影なんだよ」ということが伝わるシリアスな雰囲気を出してもらえるといいのではと思います。
入学式のように親が撮影者になる場面では、他の保護者の方にスマホを渡して撮ってもらうなども、少しピリッとした空気を出すコツなのではないでしょうか。変顔は周囲が反応することで助長してしまうところがあるので、親が日ごろから変顔に対し、あれこれ反応しないことも長い目での対策になると思います。
子どもたちが変顔をしちゃう理由は「まじめな顔をするのが照れくさい」「周りの反応を期待している」「本人にとっては“キメ顔”」などいろいろあるようだが、学校行事の記念撮影やスタジオでの撮影についてはプロにお任せするとして、子どもがここぞ!という写真で変顔を連発したら、「今は変顔しちゃだめ!」という“シリアスな雰囲気”を伝えるのが大切になってくるそう。
そして、そもそも子どもが変顔を連発してふざけてしまうのを抑えるためには、大人の日々の“スルースキル”が重要になってくる。
これまでにも、子どもたちが周りを笑わせようと「うんち!」などの“お下品ワード”を口にしがちな時は、笑いながら注意するのではなく「あえてスルー」をすることで“悪ノリ”が減っていく、というテクニックをご紹介した。
日ごろから、子どもたちの変顔に思わず笑ってしまいそうになってもグッとこらえて“ノーリアクション”でいることが、子どもたちが「今は変顔しない方がいいかも…」と気づくことにつながるかもしれない。
あなたのと投稿が漫画になる!エピソード集中
「聞きコミ PRIME online」では皆様からの「育児あるある」エピソード投稿をお待ちしています。
・「もういらない」と言ったから代わりに食べたおやつ。「やっぱり食べる!」と言われて大慌て…同じものを用意しても「さっきのがいい!」と泣かれて大苦戦!
・無くしたと思っていたスマホを冷蔵庫の中から発見!なんでここに入れちゃうの!?
などなど、あなたの「育児あるある」に隠された子どもたちの気持ちを探ってみませんか?
※入力された内容は記事で紹介させて頂くことがございます。
※改めて取材をさせて頂く場合もございます。
(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。
(漫画:さいとうひさし)