首都圏などで相次いでいた一連の強盗事件をめぐって、フィリピンから日本に移送中の指示役とみられる男2人が、別の特殊詐欺事件に関与した疑いで、航空機の中で逮捕された。
窃盗の疑いで逮捕されたのは、今村磨人容疑者(38)と藤田聖也容疑者(38)。2人は、渡辺優樹容疑者(38)、小島智信容疑者(45)とともに、フィリピンを拠点とした特殊詐欺グループの幹部だったとされ、一連の強盗事件にも指示役として関与したとみられている。
この記事の画像(11枚)警視庁によると、藤田容疑者は、2019年11月、金融庁職員などを装う特殊詐欺の手口で、足立区の当時76歳の男性から、キャッシュカード2枚を盗んだ疑いがもたれている。当時、藤田容疑者は、フィリピンの拠点から、日本国内の実行犯らに指示をしたとされている。
また、今村容疑者は、2019年4月、警察官などを装う特殊詐欺の手口で、足立区に住む当時52歳の女性から、キャッシュカード8枚を盗み、現金70万円を引き出した疑いがもたれている。今村容疑者も、フィリピンから日本国内の実行犯らに指示をしていたとみられている。
2人は、渡辺容疑者、小島容疑者とともに、フィリピンのアジトで、「かけ子」らに指示し、日本国内の高齢者らに詐欺の電話をかけていたという。このアジトは、2019年、フィリピン当局に摘発され、「かけ子」ら36人が日本に強制送還され、逮捕された。
渡辺容疑者ら4人は、摘発から逃れたものの、その後、フィリピンの入管施設に収容されていた。その施設内で、「ルフィ」などと称して、一連の強盗事件にも、指示役として関与した可能性があるという。
4人のうち今村容疑者と藤田容疑者は、けさ、フィリピンから強制送還され、午後0時半前、日本に向かう機内で逮捕された。また、刑事裁判の審理中だった渡辺容疑者と小島容疑者についても、きょう午前、マニラの裁判所が、控訴を棄却。あすにも強制送還される可能性があるという。
4人が関与した特殊詐欺事件は、被害総額が少なくとも60億円にのぼるとみられている。警視庁は、今村容疑者と藤田容疑者を、日本に移送後、特殊詐欺事件の取り調べを本格化させるとともに、一連の強盗事件への関与も追及する方針だ。(画像は、マニラの収容所を出る直前の今村容疑者(右)と藤田容疑者(左))