はるか上空に浮かぶ白い球体。月にも似た謎の物体をめぐり、2つの大国が応酬を繰り広げる事態になっている。

アメリカ上空に“謎の気球”が出現?

2月1日、アメリカ北西部のモンタナ州上空で撮影された映像。

この記事の画像(15枚)

撮影者:
上空にこんなものが浮かんでいる。正体が全く分からないよ。もう35分も、この場所に浮いているんだ。

動画に収められた「月」。球体は「月」でないことが分かる。
動画に収められた「月」。球体は「月」でないことが分かる。

映像には「月」も収められていて、球体が月とは別の所にあることが分かる。

さらによく見ると、この球体にはソーラーパネルのような装置が付いていた。

「中国のスパイバルーン」アメリカ国防総省が断言

この謎の物体について、アメリカ国防総省の報道官は驚きの見解を示した。

アメリカ国防総省・ライダー報道官:
アメリカ政府は現在、本土上空にある“高高度偵察気球”を発見し、追跡している。

謎の物体は「スパイバルーン」。つまり、偵察用の気球だという。

さらに驚くことに、国防総省の高官は、このスパイバルーンが「中国のものであると確信している」と断言した。

アメリカ政府関係者などの話を総合すると、このスパイバルーンは中国からアリューシャン列島、そしてカナダ上空を飛行してモンタナ州に到達したという。

モンタナ州には重要な軍事施設などがあり、アメリカ国防総省もスパイバルーンが数日前から“機密性の高い地域”を飛行しているとしている。

アメリカ国防総省は「このスパイバルーンが中国のものである」とする根拠については明言していない。

「撃ち落とせ」戦闘機の待機も…

一方で、バルーンが現れたモンタナ州の議員は怒りのツイートを発信した。

モンタナ州の下院議員ツイート:
Shoot. It. Down.(撃ち落とせ)

さらにマッカーシー下院議長も「中国によるアメリカの主権を無視した行動は対処しないといけない」と、中国を名指ししてけん制した。

今回の一件は、すでにバイデン大統領にも報告され、実際、撃墜に向けF-22ステルス戦闘機も待機したという。しかし、落下物など地上への影響も考慮され、撃墜は見送られたとしている。

中国では事実関係を確認中。広がる憶測

スパイバルーンの出どころとされる中国。

SNSでは「(アメリカの)自作自演でしょ」「根拠がないのに無理やりでっちあげるのか」「日本人がやったのでは?」といった声が挙がっていた。

そして2月3日の夕方、中国外務省の報道官は次のように反応した。

中国外務省 毛寧報道官:
事実関係を確認中。推測やいたずらに騒ぎ立てることは問題解決のためにならない。中国は責任ある国家なので、他国の領土・領空の侵犯をするつもりはない。双方が冷静に、慎重に問題を処理することを望む

アメリカを見下ろす“スパイバルーン”問題。米中間に新たな緊張をもたらしそうだ。

(「イット!」2月3日放送分より)