前田利家が金沢城に入城する際、人々がそれを祝福するために「獅子舞」を踊ったことが由来とされる加賀獅子頭。今でも、魔除け・厄除けの守り神であり、初節句などの縁起物としても親しまれている。そんな獅子頭の伝統を受け継ぐ工房を訪ねた。

400年の伝統受け継ぐ加賀獅子頭の工房

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加賀獅子400年の伝統を受け継ぐ白山市の知田工房。

先代の知田清雲氏が立ち上げた獅子頭の工房は今、2代目に受け継がれている。

それが2代目の獅子頭職人、知田清雲さんだ。

竹内章アナウンサー:
知田さんは2代目を襲名されてどれぐらいになるんでしょうか?
2代目 知田清雲さん:
2年ぐらいは経っていると思います。

竹内アナ:
あんまり獅子頭専門の工房って無いんですか?
知田さん:
獅子頭を専門にやっている所はそんなに無いと思います。
竹内アナ:
石川県は獅子舞が盛んなんですか?
知田さん:
石川県は本当に獅子舞の盛んな所なので、そのおかげで僕らはこういう仕事ができたと思います。

竹内アナ:
獅子頭って地方によって違うんですか?
知田さん:
みんな違いますね。他県とは全然違いますね。

「目の睨み気をつけろ」八方にらみの加賀獅子

竹内アナ:
加賀獅子の特徴はどういったところですか?
知田さん:
大型っていうのと目が「八方にらみ」と言われている。どこから見てもその方向を睨んでいるように見える。

知田さん:
そして角があるっていうことですね。
竹内アナ:
角って加賀獅子の特徴なんですか?
知田さん:
他の県では角が無い所が多いですね。

竹内アナ:
色も違えば角も違いますね。
知田さん:
当然、持ち方などもみんな違います。

知田さん:
僕は魔除け・厄除けがあるので怖い顔を作ろうと心掛けています。子供が泣くような顔を作れ。怖さっていうか「目の睨み気をつけろ」っていつも言われて作ってきました。

父(初代)から2代目…そして弟子&息子へ

竹内アナ:
角の金色は?
知田さん:
それは金箔です。塗るのは仏壇などを塗る塗師屋さんや職人の方に塗ってもらっています。色んな職人に出して、最後漆塗って完成して戻って来た物を全部組み立てて完成させるのが僕の使命です。
竹内アナ:
そんなにたくさんの職人さんが1つの獅子頭に携わっているんですね。

竹内アナ:
この獅子頭は何キロぐらいあるんですか?
知田さん:
これで13キロから14キロぐらい。量った事は無いですが、持ってもらったら重たいと思いますよ。

知田さん:
ここを持って、下を持ってもらったら。口を開けられるので。

竹内アナ:
あ~重い!こんなに重い物を振り回しているんですか?

竹内アナ:
立派な獅子頭ですが、これは注文を受けて作るんですか?
知田さん:
注文です。これが古い獅子頭です。今回は少し大きくしていますが。

竹内アナ:
鼻の辺りが割れている…
知田さん:
目の所は穴が開いちゃっています。100年以上経っている獅子頭なので。大正時代の獅子頭を新調したいという依頼です。

竹内アナ:
結構まだゴツゴツしていますが…木を削りだしたら滑らかに?
知田さん:
仕上げは息子や弟子が居て、仕上げ彫りをすることによって手法を覚えていくんです。

知田さん:
息子の大芽が他の親方からの修行から帰って来て2年経つので、息子が仕上げたり若い弟子が仕上げたりしています。

竹内アナ:
いずれは息子さんが3代目に?
知田さん:
そうなると思います。僕も70歳ぐらいまではやろうかなと思っていて、それまでに息子が一人前になれば息子に”清雲”を名乗ってもらおうかなって思っています。

知田さん:
桐の原木が無くなってきているっていうのが一番心配というか不安でもある。さらに新型コロナで2年間、獅子舞が出来なかった。それで獅子舞が途絶えていく所もあると思います。

知田さん:
これから先果たして50年後にお祭り文化が無くなっていくような不安がありますね。僕がやれることはとにかく修理に来たらちょっとでも長く使えるようにすることとか見た目を少しでも綺麗にしてあげること。それをやっていかないとこれから先、加賀獅子という伝統文化が消えそうな気がして怖いです。

知田さん:
技術的なものも息子に伝えなきゃいけないし、息子自体も不安に思っていて”耳飾り”を作ってみたり”かんざし”を作ってみたり色んなことをやっているので、なんとか親父からもらったものを弟子と息子に伝えていくことが出来れば、獅子頭が残っていってくれるのかなって思います。

(石川テレビ)

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