感染拡大が続く新型コロナの第8波。福岡県内では死者が急増し、依然としてコロナが猛威を振るっている。そんな中、医療の現場では「輸血用の血液不足」という新たな危機が浮上している。

“第8波”で死者数急増…「隠れ感染者」多数か

新型コロナ第8波の真っただ中で急増しているのが、「死者の数」だ。福岡県が発表したデータ(2023年1月18日)によると、1月15日までの1週間の死者数は、過去最多の168人にのぼっている。この数は、2022年夏の第7波で最多だった114人に比べると約1.5倍の数字だ。

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一方、第7波と第8波、最多の感染者数はどちらも1万5,000人前後と、大きな差は見られない。いずれも重症化率が低いオミクロン株が主流にも関わらず、なぜ今回の第8波は死者数が増加しているのか? 県の医師会は…。

福岡県医師会・瀬戸裕司専務理事:
陽性者数、母数、分母がかなり実際には多くなっている可能性も否定できない

2022年9月に感染者の、いわゆる「全数把握」が簡略化された。これにともない自己検査もできるようになったことで、「陽性」でも報告しない「隠れ感染者」が多数いるという認識を医師会は示した。そのうえで、次のように語っている。

福岡県医師会・瀬戸裕司専務理事:
福岡県においては、コロナの死者のうちの98%が60歳以上です。高齢者の方が、死亡者の内のほぼ100%近いものになっている。基礎疾患の悪化が主な要因です

第8波の感染者の実態は、行政が把握している数より多く、全体像が見えない中で重症化しやすい高齢者に感染が広がっている可能性を示唆した。

深刻な血液不足…「下手すると死に至る」

こうした中、医療の現場では第8波の影響で今、「新たな危機」が広がっている。

テレビ西日本・川崎健太キャスター:
福岡市内の献血場に来ています。実は今、輸血用の血液というのが不足していまして、これが非常に深刻な状況になろうとしているのです

福岡市の博多バスターミナルにある「献血センター」
福岡市の博多バスターミナルにある「献血センター」

福岡市の博多バスターミナルにある「献血センター」では、病気やけがから命を守るために不可欠な輸血用血液の献血を毎日受け付けている。

テレビ西日本・川崎健太キャスター:
今現状、輸血用の血液は足りてない?

福岡県赤十字血液センター・永井正一さん:
もともと冬場、寒くなると体調を崩される方が多くなるものですから、献血の確保は厳しくなる。それに加えて新型コロナの第8波が来て、そういう影響があるかと思います

輸血用の血液確保が難しい現状
輸血用の血液確保が難しい現状

今、血液が足りない大きな要因には、第8波の感染拡大が大きく関係しているという。

福岡県赤十字血液センター・永井正一さん:
感染されると症状がなくなって4週間はできない。また、濃厚接触になった方も最後の接触から2週間経過すれば献血がお願いできる

コロナの接触者と濃厚接触者が増えれば増えるほど、基本的には血液が足りなくなる。福岡県内では感染者が急増していた2022年12月、必要数に対して880人分の血液が足りない状況だった。2023年に入ってからは、福岡だけではなく九州・沖縄全体で深刻な血液不足が続いている。

福岡県赤十字血液センター・永井正一さん:
この状況が続いてしまうと、必然時にお届けする血液が足りなくなってしまう。下手すると死に至る

献血に訪れた人は…。

30代会社員:
娘を6カ月で早産して未熟児。献血で血液提供のお世話になったので、自分も少しできたらなと思って

献血に訪れた30代会社員
献血に訪れた30代会社員

福岡県赤十字血液センター・永井正一さん:
尊い命を救うためには、全力で確保していかないといけないかなと思っていますので、ぜひ未経験、経験者じゃない方でも構わないので、献血会場に来場して頂ければと思います

第8波の影響で直面している輸血用の血液不足。血液センターは一人一人の協力が人の命を救うことにつながると呼びかけている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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