税金を滞納すると、ある日突然、Gメンがやってきて修羅場になるかもしれない。
【ケース1】もっと悪いヤツがいる!と激高
千葉県。この日、Gメンが訪れたのは約104万円の住民税を滞納するAさん(50代男性)の元。

Aさんは妻と2人暮らし。再三の連絡にも応じないため、家宅捜索にやって来たのだ。さっそく玄関口へ向かうと、奥にいたAさんが…。

Aさん:
見てわかるでしょ!これ。
職員:
中でお話ししますので。

Aさん:
貧乏人から金とってどうするんですか!
と、いきなり文句を言い出した。

職員:
県の方で100万と4万1700円。
Aさん:
え!? 住民税だと!?

職員:
一括で納められないってことでいいですか?
Aさん:
勝手に見ればいい。
職員:
そしたら、国税徴収法第142条に基づいて捜索を開始します。

Aさん宅へ踏み込む。
事前の調査では、自営業のAさんの収入は月に約40万円。妻もパートをしていて、税金が納められない状況ではないはずだ。

まずは生活の状況を聞き出そうとするが…。

Aさん:
もっと世の中、悪いヤツがいっぱいいるんじゃないの?ここに来てどうするの?何をもっていくの!
職員:
とりあえず話を聞かないと。

Aさん:
払えないところに来てどうすんの。ないから何にも!
妻に話を聞くと…千葉県の未徴収金額は117億円
お金はない、の一点張り。

職員:
〇〇さん、税金の滞納はどのくらい知ってました?
Aさん:
わかんないよ。まかせてますんで。

Aさんの妻:
(夫は)何もわからない。
職員:
わからない?じゃあ奥様が…。
Aさんの妻:
私が悪いです。

どうやら妻がお金の管理をしていて、夫は税金の滞納について全く知らなかったようだ。
Aさんの妻:
私、貯金100万あるんですけどコロナだから…急にお金が要ったり。

妻はコロナ禍の生活に不安を感じ、お金を貯め込んでいた。しかし、それは税金を納めた上ですべきこと。

すると…。

Aさんの妻:
(滞納を)減らしたい。
職員:
今日払える?

Aさんの妻:
うん。○○さん、全部払っていこ。
Aさん:
まかせます。

Gメンに対し悪態をついていたAさんだったが、妻の言葉にあっさり承諾。この後、妻は銀行へ行き、滞納額全額を納めた。

千葉県が抱える未徴収金額は約117億円(令和3年度現在)。県では市町村と連携し、滞納者について徹底した財産調査を行い、月に約40件のペースで捜索・差し押さえを行っている。

千葉県税務課特別滞納処分室 小倉昇主幹:
滞納が長期化したり、累積して高額になると(滞納者が)より納めにくい状態になり、捜索を行わざるを得ない。納付が困難な事情がある人は、納期限までに相談して下さい。

こうした取り組みが進む中で、職員もあ然とする滞納者は後を絶たない。
【ケース2】足りない生活費はカードで借り入れ
この日、Gメンが向かったのは県内にある高級マンション。

ここに住むCさん(70代男性)は住民税113万円を滞納。再三の催促にまったく納付がないため、自宅の捜索に来た。
インターホンを鳴らすと、Cさんが玄関先に出てきた。

職員:
今日時点で、延滞金含めて113万4950円あります。今日一括で払えるか、払えないかなんですけど。
Cさん:
今日はちょっと無理。

滞納分全額を納めない限り、家の捜索は強制的に行われる。
職員:
5時52分。142条で捜索開始。
捜索が始まった。Gメンはまず、家計について聞いた。
職員:
年金は月どれくらいですか?
Cさん:
年間170ですから…。

職員:
(月)15万くらいですかね?奥さんは?
Cさん:
5万くらい。

職員:
2人あわせて月20万くらい?
Cさん:
はい。それだけですよね、収入はね。
ひと月の収入は年金20万円というのだが…。

職員:
賃貸契約書を見ると、ここの家賃って18万くらいでしたよね?
Cさん:
そうなんですよ。
収入20万円で家賃が18万とは、食費はどうなっているのか。
Cさん:
おかあさん、食費っていくらぐらいか?って。

Cさんの妻:
食費って1週間に1万5000円くらいじゃないの。
職員:
単純に月6万円くらい?
Cさんの妻:
食べる分だけで、うん。

家賃と合わせると、すでに24万円。1カ月20万円の年金では、とても暮らしていけない。
職員:
日々足りない生活費はどこから捻出しているんですか?

Cさん:
…カード。カードで借り入れしたり、そういう支払いもだいぶあるんですよ。
職員:
どのくらいあるんですか?借り入れは。

Cさん:
借り入れそのものは…300万円くらいあります。

職員:
そういう借り入れで生活費は出していると?
Cさん:
ええ。
足りない生活費はカードで借りているという。

職員:
毎月足りないじゃないですか。2人で20万円の年金で、18万円の家賃だったら。
Cさん:
ですから株の方で…。
職員:
いくらくらい返しているんですか?
Cさん:
いくらくらいだっけ?毎月。
Cさんの妻:
6、70万ぐらいになるんじゃない?

職員:
毎月60万返してるの?
Cさんの妻:
うん。
なんと、株の取引で儲けたお金で毎月60万円以上の借金を返していると言い出した。
Gメンの追求に動揺「妻と打ち合わせしたい」
その時、Gメンが別の部屋から妻名義の通帳を見つけた。

これが実際の写真だ。預け欄には、証券会社の文字が書かれている。

職員:
奥さんは、株には手をつけてない?
Cさん:
わかりませんから、やってません。
しらを切るCさん。

職員:
あれ?だって○○証券から入ってましたけど。奥さん名義の通帳に。
Cさん:
あれ、今、だから…今、あの~アレです。

妻の通帳には、この捜索の1週間前に、証券会社へ30万円入金されている記録があった。妻の名前で株の取引をしていたのだ。
すると突然、Cさんが席を立ち奥の部屋へ。職員が後を追う。

Cさん:
ちょっと待ってください、ちょっと待ってください。女房と打ち合わせ。
慌てるCさん。妻と打ち合わせがしたいと言い出した。

職員:
打ち合わせするなら奥さんをここに呼んで。
Cさん:
いや~おたくらがいると…。
職員:
いやいや、おたくの税金の滞納ですよ!今、これ強制調査なんで。

Cさん:
ですから、その払うかどうか、払、払う、払える…。
動揺している。
職員:
奥さん!

Cさん:
どうしょうもないからさ、100万くらいなのよ。あそこに…○○証券にいれようとしている資金を回しちゃおうか。

Cさんの妻:
今すぐじゃないとダメなの?
職員:
今すぐ。今日、今日。税金って、他の支払いとかより優先…。

Cさんの妻:
わかってる、わかってる。テレビでよくやってる。
そして…。

Cさん:
おかあさん、払っちゃって!!
数分後、リビングの奥の部屋から妻が出てきた。その手には封筒が握られていた。

Cさんはそれを受け取ると…。

Cさん:
はい!
バンッと音を立てて、テーブルの上に封筒を投げつけた。

中には、現金100万円が入っていた。やはりお金はあったのだ。

滞納額113万4954円全額を納めたCさん、最後にこう話した。

Cさん:
現金をおたくら持って、出て行ってくれないかな。もう(株の)取引始まっちゃうんだよね。
何も懲りていないようだった。
(「イット!」1月10日放送)